HOME NEW TRENDS フィンランドの巨匠・アルヴァとアイノ。2人のアアルトに迫る展覧会
フィンランドの巨匠・アルヴァとアイノ。2人のアアルトに迫る展覧会

フィンランドの巨匠・アルヴァとアイノ。2人のアアルトに迫る展覧会

フィンランドを代表する建築家、アルヴァ・アアルト。「北欧デザイン」が世界で広まるうえで大きな役割を果たした彼の功績には、ある偉大な”パートナー”の存在があった。彼の作品に大きな影響を与えた妻アイノ・アアルトにフォーカスした「アイノとアルヴァ 二人のアアルト フィンランド―建築・デザインの神話」が、世田谷美術館で3月20日(土・祝)から6月20日(日)まで開催される。これまであまり注目されていなかったアイノ・アアルトの仕事に着目した作品が見られる貴重な機会だ。

アイノ・アアルトとアルヴァ・アアルト ニューヨーク万国博覧会フィンランド館にて、1939 年 Alvar Aalto Foundation

木材など自然素材を活かした温もりのある作品で知られる、20世紀の北欧デザイン界を代表するモダニズム建築の巨匠・アルヴァ・アアルト。彼の仕事は建築に限らず、家具やガラス食器、日用品のデザイン、絵画など多岐にわたった。「アルテック」を象徴する「スツール60」や、「イッタラ」のガラス器に見覚えがある人は多いだろう。

そんな彼のキャリアの前半は、妻で建築家のアイノ・アアルトとの共同による作品づくりが基本だった。日本では初となる本展ではそんな2人の共同作業やこれまであまり注目されてこなかったアイノ・アアルトの仕事に着目しており、新しい角度から作品を見ることができる。

アルヴァ・アアルト、スツール 60、1933 年デザイン Alvar Aalto Foundation

アアルトに多大な影響を与えた、アイノの「暮らし」の視点

アイノ・アアルトとアルヴァ・アアルト、1937 年 Aalto Family Collection, Photo: Eino Mäkinen

アイノ・アアルトは、1924年に建築家としてアルヴァの建築事務所に勤め始めたことがきっかけでアルヴァと出会い、その半年後に結婚する。アイノがパートナーとなったことで、アルヴァには「暮らしを大切にする」という視点が生まれた。世界的には合理主義的なモダニズム建築の流れのなか、“使いやすさや心地よさ”に“優しさや柔らかさ”が共存するアアルトの建築は独自の位置を占めるようになり、世界的に評価されるようになった。アイノはまさにそのエッセンスを形成した存在といえるだろう。

マイレア邸 リビングルーム Alvar Aalto Foundation

2人の建築やプロダクトはしばしば、建築をアルヴァ、インテリアや家具デザインなどの内装をアイノが担当したといわれている。しかし、彼らの作品を区別するのは難しく、アイノが54歳で他界するまで、2人は25年にわたり協働を続けたのであった。

1935年、アイノはアルヴァらと創業した家具ブランド「アルテック」の初代アート・ディレクターに、さらに1941年には社長に就任した。代表作「スツール60」をはじめとした、実用的で耐久性に優れ、日々の暮らしを彩る普遍性あるプロダクトを多数生み出した。水面に広がる波紋のような美しいデザインが人気の「ボルゲブリック」シリーズは、彼女によって生み出されたプロダクトのひとつだ。

アイノ・アアルト、ボルゲブリック・シリーズ、1932 年デザイン Alvar Aalto Foundation

本邦初公開の貴重な資料も

アアルトハウス庭側立面スケッチ、1935 年 Alvar Aalto Foundation

会場では、アアルトハウスなどの建築図面やスケッチ、建築模型に加え、「41 アームチェア パイミオ」などの家具やプロダクトデザイン、そして写真など約200点が展示される。家族の写真やプライベートなスケッチといったコレクションは日本初公開だ。

アルヴァ・アアルト、41 アームチェア パイミオ、1932年デザイン Photo: Tiina Ekosaari Alvar Aalto Foundation
アイノ・アアルト、ヴィラ・フローラ水彩スケッチ、1942 年 Aalto Family Collection

アイノの仕事に着目しつつ、アルヴァ・アアルトの建築やデザインの本質を辿る本展。視点を変えることで新しい魅力が見つかることだろう。