無印良品が4月末より、12種類の飲料容器をペットボトルからアルミ缶に変更している。地球規模での持続可能な未来を見据え、優秀な循環型素材であるアルミ缶に注目したためだ。出先で飲み物が欲しくなったとき、多くの人があたりまえのようにペットボトルを想像するが、その「あたりまえ」をちょっと疑う良い機会だろう。
1980年、「わけあって、安い」をキャッチコピーに誕生した無印良品。その「わけ」とは、商品の生産プロセスを徹底的に合理化し、心地の好い簡素さを追及している、ということ。たとえば、無印の代名詞ともいえる薄茶のクラフト紙は、紙の原料であるパルプの漂白を省いたもの。「紙は白いもの」というあたりまえを覆した結果、良いものをお手頃価格で消費者に届けることに成功したのだ。こうした姿勢は生産コストだけでなく、環境負荷の削減にもつながり、さらに結果として無印のアイテムはどれも簡潔で使いやすく、どこにでもなじむ魅力を携えているのはご存じの通り。
無印の商品を使うことは、より良い暮らしはもちろん、持続可能な社会を選択すること、といっていいだろう。
そんな無印が飲料ボトルをペットボトルからアルミ缶へと変更した。無印らしい、持続可能な社会の実現のための取り組みの一環だ。アルミ缶はとても優秀な循環型素材で、日本国内のリサイクル率は約98%を誇る。さらに、缶から缶へと生まれ変わる水平リサイクル率も約70%と高水準。正真正銘「循環する」ボトルなのだ。
とはいえ、ペットボトルだってちゃんと分別して資源ごみに出しているけど……と反論したい方もいるだろう。おっしゃる通り、ペットボトルも国内リサイクル率は85%前後と世界のなかでは高水準を保っている。しかし、実は再びボトルへと生まれ変わるのはその2割程度。大部分が食品パッケージや繊維などにリサイクルされ、それらは最終的にはごみとして焼却されることが多いのが現状だ。より環境負荷の少ない選択を考えると、アルミ缶に軍配があがる。
さらに、アルミ缶はペットボトルと比べて遮光性が高く、賞味期限を伸ばす効果も。フードロスの削減という観点からも、地球にやさしい選択ができるといえよう。
1980年の誕生以来、さまざまな姿勢でエシカルな選択を提案してきた無印良品。今回の飲料ボトル変更は、ごみ問題をより多角的に捉えるよい機会となるのでは。分別して資源に出すだけでもなんとなくごみ問題に貢献できているけれど、資源ごみの「その後」も意識して商品を選択することで、もっと気持ち良い買い物ができるだろう。
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