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HOME SPECIAL 今日を愉しむモノゴト カルチャーの“いま”。奥山由之の写真集で見る、日本の最前線クリエイティブ
カルチャーの“いま”。奥山由之の写真集で見る、日本の最前線クリエイティブ

VOL.109 カルチャーの“いま”。奥山由之の写真集で見る、日本の最前線クリエイティブ

さまざまな話題の広告をはじめ、クリエイティブシーンを牽引する写真家・奥山由之。彼の“クライアントワーク”に焦点をあてた写真集『BEST BEFORE』が刊行される。500ページを超える大ボリュームで “いま”を切り取った1冊。ページをめくるたび、強烈な印象を残すだろう。

大学在学中だった2010年のデビュー以来、数々の写真集や展覧会で精力的に作品を発表している気鋭の写真家・奥山由之。

奥山といえば、その膨大なクライアントワークの数々だ。米津玄師、星野源といったアーティストとのコラボレーションをはじめ、アンリアレイジや雑誌『GINZA』『装苑』のファッションフォト、そしてポカリスエットのTVCMなど──彼のクリエイティブを目にしたことがないという人は、いないといっても過言ではないだろう。

その仕事の数々を500ページ以上の大ボリュームで収録した、クライアントワーク集『BEST BEFORE』が2022年2月上旬に刊行される。

奥山自らセレクトしたという総数400点以上の収録作品数も圧巻だが、多重露光、エマルジョン・リフト、スローシンクロ、コラージュ、複写、感光……緻密に計算された実験的な手法によって生み出された作品から、瞬発力を活かして決定的瞬間を切り取ったドキュメント写真まで、ジャンルを超えて作品ごとに更新されるそのスタイルは、一回一回の撮影を徹底的に突き詰める奥山だからこそ成せる業だ。

タイトルの『BEST BEFORE』は“賞味期限”を意味し、作品の輝きが永遠に色褪せないことを逆説的に示しているという。

クライアントワークといえど、奥山の作品は「広告的なもの」「商業的なもの」とは明らかに一線を画し、“写真表現”として語りかけてくる強さや個性がある。
広瀬すず、菅田将暉、平手友梨奈、小松菜奈、本田翼といった時代のアイコンとともに、日本のカルチャーの“いま”を切り取る作品群は、まさに「2010年代以降のビジュアル表現」の金字塔として、色褪せず歴史に残り続けるだろう。

奥山の仕事は、クライアントや被写体と真摯に向き合い、じっくりと丁寧に関係性を築き上げ、極限までアイデアを考え抜き、試行錯誤の検証を繰り返した先に辿り着いた、結晶のようなものだ。気鋭の写真家が時代を閉じ込めた珠玉の1冊を、ぜひ手元に置いて何度でも愉しみたい。

BEST BEFORE
発売:2022年2月上旬
先行発売:2022年1月23日(日)
著者:奥山由之
アートディレクション:平林奈緒美
https://www.seigensha.com/books/978-4-86152-881-1/