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上京した、君。

何かを掴むために、何者かになるために。“知らない街東京”に来た君の、今から始まる東京物語。君らしい、新しい目線の東京の暮らし方を紡ぐ。

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東京に“おかえり”が欲しい時 ―後編

CAFE FACON COFFEE STAND(カフェ・ファソン コーヒー スタンド)

あかりの行きつけ3つ目の条件は、「素敵なカフェのお姉さん」がいること。心にキラリ輝く情熱を持って東京で生きる女性。心から好きな何かがある同志のような存在。東京にはきっとそんな女性がたくさんいるから。

“休みはいろいろなカフェをめぐる。
仕事もカフェ、休みもカフェで飽きないの?って聞かれるけど、自分がバリスタになってもお客さんと して行くカフェの空間や、そこに流れる時間は別物でやっぱり好きなのだ。

カフェはたくさん行くけど、行きつけってまた違うものだ。
行きつけには「良い間」があると思う。ちょっと話すけど、ちょっと一人にもなれる。寂しくはないけど、気をつかうほどでもない。そのちょうど良い間、が人それぞれなのだと思うけど。
MY行きつけスタイル。

行きつけを探す冒険をしながら、そのスタイルを見つけて行くのもまた楽しいのである“

代官山、というくらいだから代官山には坂が多い。
細く小さな坂がたくさんあって、気付いたら下っていたり、ゆるく登っていたり・・・
なんだか場所に遊ばれている感じがして面白いな・・・あかりはちょっと笑顔になりながら思った。そんな代官山にあるのがカフェ・ファソン。
上京した君、坂本あかり23歳の行きつけ探し、2軒目はここ。

カフェスペースのある店舗と、その2、3軒先に焙煎所を備えたコーヒースタンドがある。
ちょっと狭い間口の入り口。奥に長い店内。アットホームで少しウッディな内装の店内。
「あ“秘密基地感”・・・」あかりはなんだか嬉しくなった。おしゃれな秘密基地が行きつけ、なんてとても良い。言いたい。

豆の種類が選べて、バリスタであるあかりには嬉しい限りのカフェ。
酸味の強い浅煎りの豆と、ケーキのセット。ちょっと喫茶店っぽい感じのメニューもまたよし。

犬を連れた人が入ってきて、その奥の犬仲間と挨拶をする。
一人でゆっくり本を読んでいる女性。
たくさんの人生がここには集って、それぞれ違う毎日を送っているけど今この一瞬だけは同じ空間を違う気持ちで共有している・・・
こんなのが、あかりがmy行きつけスタイルにしたい“良い間”なのかもしれない。

ここにも素敵なカフェのお姉さんが。
無造作に髪をまとめて、意思が強そうに輝く目。柔らかい雰囲気の彼女とは好対照。白と黒。動と静。

「どこから上京してきたの?」カジュアルに、聞いてくる。
「徳島なんです」
「私も先月、オーストラリアから東京にきたの」
「・・・!?」
「コーヒーの焙煎の勉強がしたくて」
「そうなんですね〜すごい!」
「まだまだ勉強中。来年にはジャカルタに行く」
「・・・!?」
「コーヒー農園で働きながら焙煎を学ぶの」

ここにもまた強く強く光る心の“キラリ”が。
触れると眩しい、その感覚をあかりは心地よく思った。人も道も、場所も何もかもが縦横無尽に溢れてるこの東京でカフェのこの空間は一瞬みんなが立ち止まる交差点なのかも。たまたまその瞬間その交差点に居合わせた人の軌跡が交差して、“キラリ”心の輝きを覗ける。人と話すのが好きだから、店員さんと話せるような空間を行きつけにしたいという、あかりらしいmy行きつけスタイル。

あかりはきっと、これからこの交差点でたくさんの“キラリ”に出会えるはず。

文:岡野ぴんこ