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新しい読書。

そもそも本を読むことは、中身を楽しむだけじゃなく、読書の時間そのものを楽しむこと。自宅で、おでかけ先で、新しい本と出会い、至福の読書タイムを提供してくれる最新読書事情とは?

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文豪の愛した朝食を味わいながら、いざ、近代文学の世界にタイムスリップ

BUNDAN COFFEE & BEER(ブンダン コーヒー アンド ビア)

駒場東大駅から徒歩10分。「日本近代文学館」の中に誰にも教えたくない場所がある。時空を超えるかのような静寂と、天井まで敷き詰められた近代文学の名作が揃うブックカフェ『BUNDAN COFFEE & BEER』だ。

近代文学を中心にズラリ並ぶ本は全て私書

駒場東大前駅のほど近く、緑豊かな都会のオアシス、駒場公園内に建つ凛とした佇まいの「日本近代文学館」の中に、静かに佇むブックカフェがある。

『BUNDAN COFFEE & BEER』は足を踏み入れた瞬間に時が止まったかのような錯覚を覚える場所。壁沿いに天井まで届く本棚を思わず見上げてしまうからだろうか、こじんまりとした店内だが不思議と開放感がある。そこには近代文学をはじめとした本がぎっしり。

坂口安吾に井上友一郎、野崎六助。近代文学を盛り上げた文豪たちの名前がズラリと揃う。
ゲームの本も発見
漫画のコーナーもあった

聞けば並んでいる本は全て『BUNDAN COFFEE & BEER』のプロデュース・運営を手がける株式会社東京ピストル代表・草彅洋平さんの私物だという。マニア垂涎の稀少本から日本文学史を彩る名作まで、店内には約2万冊にも及ぶコレクションが並ぶ。

草彅さんは、近代文学の面白さを伝えるべく『BUNDAN COFFEE & BEER』をオープンさせたそう。

「文学とか本は霊媒だと思っています」と言う草彅さん。そう聞くと、本棚からは文豪たちの息遣いが聞こえてきそうだ。

明治維新から太平洋戦争の終結まで、激動の時代を生きた文豪たちの言葉には、現代を生きる私たちに必要な知恵や哲学を教えてくれるだろう。

読書のお供には、文豪の名前がついた粋な朝食セットを

『BUNDAN COFFEE & BEER』で注目して欲しいものがもう一つ。カフェメニューにも粋な計らいが仕込まれているのだ。例えばこのメニューは、坂口安吾の作中に出てくるというサンドイッチを再現したモーニングセット。

お店イチオシ、坂口安吾の焼鮭サンドイッチセット600円(1日20食限定)

メニューの横にはネーミングの由来となったエピソードも添えられている。

——安吾は、幼少期より胃が弱かった上、酒と煙草の習慣のために体調を崩しがちで した。そんな彼が自身の身体を労るためにオジヤと並び好んだのが、故郷・新潟 の郷土料理を自らアレンジして作った焼鮭サンドイッチだったのです。

ふむふむ、そうだったのか。とつい声に出してしまいそうになる。

ドリンクも豊富で「AKUTAGAWA」、「OUGAI」、「TERAYAMA」と文豪の名前がついたコーヒーに、「灰色のコーラ」、「堀口大學のシャンパン」、「太宰治のりんご酒」などのラインナップが揃う。

「文豪の愛した銀座キャンドルのアップルパイ・アラモード」、「三角地帯のチーズケーキ 」、「檸檬パフェ」などのスイーツも。

メニューを見ているだけでもあっという間に時がすぎていく。毎日通って、全制覇したい欲望に駆られてしまった。

膨大な情報が溢れ、様々な価値観が存在する現代社会だからこそ、人生や仕事、愛の本質を見直す時間が必要だ。ここは、そんな時を過ごすのに申し分ない場所と言えるだろう。

美味しい朝食とたくさんの本に囲まれて、しばし近代文学の世界へタイムスリップしてはいかがだろうか。

写真_諸井純二( Rooster)   文_森田文菜