世界中を、旅しながら働く。そんな夢みたいな話も、最近は月々定額でできる時代になったらしい。注目のサブスク住み放題サービス、「HafH」ならそれが可能。おでかけの概念も変えてくれそうだ。
出張中や旅行中に仕事をすると、不思議とはかどる。こんな体験をした人は筆者ばかりではないハズ。誰にも邪魔されない移動の時間があって、観光や食事を楽しむために集中力が上がって、しかも見知らぬ土地という高揚感に包まれて、疲れもするけど、有意義な一日になった。そんな充実感。

「毎月定額で、世界中を旅しながら働く」というテーマで、2019年4月1日にスタートしたばかりのサービス「HafH」(ハフ)なら、そんな日々が永久に続くかもしれない。いや、永久じゃなくても、休日だけということでもいい。
毎月定額のサブスクリプション方式で、月5日(1万6000円)〜30日(8万2000円)の価格設定。国内46拠点、海外7拠点、合計53拠点が住み放題になるというもの。敷金も礼金もいらない。

「もともと自分も出張が多くて。会社で仕事をしているより、旅しながらのほうが、出会いや学びも多い。得られるものが多いと気づいたんです」
こう語るのが、「HafH」を運営するKabuK Style Inc.のCo-CEO・大瀬良亮さん。同じく長崎にゆかりのある共同経営者の砂田憲治さんとともにこのサービスを思いついたのが昨年10月だ。クラウドファンディングサイト「Makuake」で、設定額の500%を超える約1000万円もの資金が集まった。

「一番難しかったのが金額設定ですね。あらゆる宿泊施設が、当然全部バラバラ。みんな定額にしなかったのはそこですよね。だから僕らもそれなりのリスクを背負ってスタートし、今後はユーザーの利用傾向などからサービスをアップデートしていきます。ひとまず『一泊いくら』というのは忘れてほしいですが(笑)、実際に普通に一泊するよりはかなりオトクにはなるはずです」

では、どんなところに住めるのか。たとえば長崎の中心に位置する「HafH Nagasaki – SAI」は、実に洗練された空間だ。見た目のみならず、異なる様々な文化の人々が泊まり、働き、集うという“現代の出島”をコンセプトにしている。

都内であれば、たとえば押上にある「O3 Hostel」。毎週様々なイベントが開催される、“住める”コワーキングスペースだ。このような街中から海辺まで様々な物件が用意されていて、年内には現在のおよそ倍となる、100件を目指しているという。そして、物件の確認から申し込みまでをウェブ上で完結できる。気ままに手軽に、住む場所を更新できるというわけだ。
「もともと長崎でアーティストのいるシェアハウスを作ろうと考えたんです。そのアイデアにブレストを重ねて、“住み放題”というサービスに行き着きました。またこのサービスにはいろんな課題意識があります。たとえば外国人からすると、日本は長く暮らしにくい国。敷金や礼金が返金されないケースも多く、保証人を付けないと住めないんですよね。また地方には、今もたくさんの魅力が眠っている。今までとは違う切り口で、外から人が訪れるようになることで、地方創生の新しいチャンスにつながるという期待もいただいています」
インバウンドやアドレスホッパー、地方での拠点を探している人、休日だけの違う地元がほしいなどなど、様々な使い方が考えられそうだ。

「あえてターゲットは絞らずに、どんな人でも使ってもらいたいと考えています。たとえば地方から都会へ、という使い方も多い。ひとつの新しい住み方の選択肢として広がっていくことが大事ですし、海外展開もこれからです。今はユーザーの皆さんに興味を持ってもらうことが大事だと考えています。また、ノマドワーカーもさることながら、サラリーマンにも使ってもらいたい。だから、企業側へのアプローチも頑張ろうと思います」

“おでかけ”という概念を根本から覆してくれそうな、可能性に満ちたサービスといえそう。登録初月は無料とのことなので、試してみるのも面白そうだ。新しいライフスタイルのあり方が、垣間見えるかもしれない。