HOME WELL BEING とりあえず、やってみた。 “隣の芝”を覗く1日。シゴト観が変化する旅へ出かけよう
“隣の芝”を覗く1日。シゴト観が変化する旅へ出かけよう

VOL.1 “隣の芝”を覗く1日。シゴト観が変化する旅へ出かけよう

この仕事、ずっと続けるべき? 誰しも一度は直面する悩みである。そんな迷える人の助けになるのが、様々な職種を体験できる「仕事旅行」というサービスだ。いざ、“シゴト人としての自分を振り返る旅へ。

「世の中には2万数千種類の職種があるらしいですね。まだまだ及びませんが、できるだけ網羅できるようにしたいですね」

こう語るのは、短期の職業体験サービスを提供する株式会社仕事旅行社・代表の田中翼さん。同社は花屋やライター、神主、ヴァイオリン職人まで多種多様な職種の人たちと提携し、実際に仕事を体験できるサービスを展開している。

捨てられた花に生命を吹き込む、フラワーサイクリスト。
イタリアにある楽器職人の町で修行を積んだ方に学ぶ、ヴァイオリン職人の体験も。

職業の表面をなぞるような座学形式のワークショップではない。店舗やオフィスに訪問して、プロフェッショナルに働き方を学ぶ。さらに少人数制だから、彼らとフランクに会話して、仕事へのこだわりや熱い思いを聞くことも可能。時にはキャリア相談が始まることもあるそうだ。

「犬の保育園」(=犬のしつけ教室)では、犬に対して行う歩き方やハウスなどのトレーニングから、飼い主への報告ノート作成までを体験できる。

サービス開始のきっかけは、代表・田中さんの原体験

職業を紹介するサービスやワークショプは、世の中に多数ある。しかし、これほどまでに充実した内容はなかなかお目にかかれないだろう。仕事旅行社のサービスがユニークなのは「仕事観を見つめ直し、自分ならではの仕事軸を持つこと」に主眼を置く点。創設のきっかけは田中さんの原体験だという。

「元々私は金融業界で仕事をしていました。新卒だったこともあり、スーツをビシッと決めてカッコいいと思ったし、給与も良さそうだな…って(笑)。でも、入社から5〜6年経験を積むと迷うんですよね。本当にこの仕事を続けていいのかな、って」

両親はふたりとも教師である田中さん。漠然と教育系の仕事がやりたいと思いながらも明確な目標が持てずにいた。

「モヤモヤしていたので、もっと外の世界を見てみたいと思って、暇を見つけては自分のアンテナに引っかかった企業に訪問してみました。そんな時、あるベンチャー企業に出会ったんです」

田中さんの目の前に現れたのは、スーツを着ていないどころか、夏の暑さを避けるべく、短パン、Tシャツ姿の社員だった。さらにオフィスにはポップコーンマシンが置かれ、しまいには取締役に手渡された名刺の肩書には「CPO(チーフ・ポップコーン・オフィサー)」と書かれていたという。

「カルチャーショックでしたよ。格好どころか、名刺でまで遊んでいて。仕事でもここまで遊んでいいんだ、って。それまでの仕事に対する固定概念が吹っ飛びました。ビジネス本の中では自由な働き方があることは知っていましたが、実際に現地を訪れて、働く人と交流したことで圧倒的なリアリティを感じたんです」

そう、「仕事旅行社」は田中さんが多くの人に“仕事における気づき”を共有したいという思いから生まれた会社だった。「これも教育の一環だと思って、起業に踏み切りました」。

1日体験の「仕事旅行」と、採用前提の「おためし転職」

だから、仕事旅行社の軸は、自分の今の仕事、そして将来の仕事を考えること。主に2種類のサービスで仕事観の見つめ直しを提供したり、転職を支援したりしている。

1つめは、現地集合・現地解散の短期の体験型学習サービス「仕事旅行」。熱い思いを持つプロフェッショナルたちの仕事術を間近で感じ、実際の仕事に触れることもできる。その数、実に170種類以上。実施場所は関東が中心だが、北海道から沖縄まで全国レベルでカバーしている。遠方への旅行のついでに、なんていう使い方もできるだろう。

全ての受け入れ先は、田中さんを含めたスタッフが厳選。選定基準は、仕事をライフワークとして熱心に取り組むプロフェッショナルがいる職場であることだ。「必ず足を運んで、実際にその人に会って、取材をして、初めてサービスに協力いただいています」。

2つめは、人事採用を目的としている「おためし転職」。複数日程にわたるスケジュールを組む場合もあり、いわゆる求人マッチングサービスの拡大版だ。転職サイトなどに求人情報が掲載されにくい、ものづくりや職人の仕事や個性派企業が多いことも特長である。

「仕事旅行」を有意義に過ごすためのヒント

これぞ、という企業がある場合は「おためし転職」を選んでもいいが、気軽に参加できるのは「仕事旅行」。田中さんに聞いてみると、参加者は幅広いが、30歳前後の方が多いとのこと。さらに、最近は仕事の視野を広げたり、新たな発想を得るための機会として、企業研修で取り入れられることもあるとか。

「参加者としては遊び感覚の人は少ない印象です。仕事観を見つめ直すとか、視野を広げるためとか、目的意識を明確にしている人が多いと思いますよ」とのこと。

じつは実際の利用者にもアンケート取材を行ったのだが、同様の意見が寄せられた。

【仕事旅行に参加したきっかけは?】
「当時飲食店で働いていて、どうしたらもっといいお店にできるだろうというヒントを得たくて旅に参加しました」(女性・31歳/参加した旅:コミュニティカフェのオーナーになる旅)

「今後のキャリアをどうするか悩んでいた時に『社会人向けのインターンシップあればいいのに』と思い検索したら仕事旅行社がヒットしました」(女性・36歳/参加した旅:スパークリングレモン酒の開拓者になる旅)

参加者にいただいた「スパークリングレモン酒の開拓者になる旅」の写真。瀬戸内海の中央近くに浮かぶ三角島で実施された。

もちろん“非日常感”を楽しむための参加も歓迎だというが、「今の仕事をより良くするヒント」「今後のキャリアを考えるためのヒント」という位置付けで体験する方が、特別な体験をより有意義に使うことができそうだ。

さらに田中さんからはこんなアドバイスも。

「訪問先を選ぶ時、まずは自分の興味を惹かれるところを選んで下さい。そして、できれば1箇所ではなく、複数箇所を体験してほしい。1箇所だけだと現在の仕事との比較に過ぎませんが、いくつか回ってみると現在の仕事の“相対的な立ち位置”が見えきます。そうすれば、仕事人としての“自分の軸”を見つけることができると思いますよ」

設立者の原体験が元になって生まれた「仕事旅行」。スタッフが足を使って選び抜いたプロフェッショナルたちからは、きっと特別な気づきが得られるに違いない。

芋川健=取材・文

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