日本に実在するの?と気になって仕方ない業界を、Harumari TOKYO編集部員が一日体験。ドラマや映画じゃない、リアルな「探偵」の世界は、究極のサービス業でした。
「探偵」。その単語から連想されるのは、シャーロック・ホームズや名探偵コナンくんなど、実在しないキャラクターがほとんど。少なくとも私の知り合いに「探偵」という職業の人はいないし、「知り合いに探偵がいるよ」という話も聞いたことがありません。
ところが、170以上の職業体験を提供する仕事旅行社が「探偵になる旅」を開講しているとの情報をキャッチ。まさか、探偵を仕事にするなんて、考えたこともなかった…。あふれる好奇心が押さえきれず、思いきって参加してみました。
綺麗なオフィスビルの一角で迎えてくれたのは、探偵の卵を養成する「日本調査業適正協議会(JDAD)」所属の鈴木すぅさん。
心理学を学び、セミナーの講師などを務めるすぅさんが今日は「探偵の世界」へのナビゲーター。ちなみに他の参加者さんは、20代の女性がペアで2組。
「全国津々浦々、駅前の電柱に探偵のチラシが貼っていない駅はないというくらい、実は全国に探偵事務所があります!つまり、それくらい需要がある」とのこと。
ふむふむ。確かに、そう言われれば脳内に蘇る、探偵のチラシ。浮気やトラブルは、都会・田舎に関わらずなくならないと聞きますよね。
まずは座学で、探偵の実際のお仕事を教えていただきます。
国によって刑事事件を取り扱うことが許されている探偵は存在するものの、日本では基本的には民事事件が守備範囲。
依頼されたことに対して調査を行い、「調査報告書」を提出するまでが探偵の仕事。なるほど。「犯人は、お前だ〜!」はフィクションの世界なんですね……。とても生々しい話ですが、依頼のほとんどが「浮気調査」や「人探し」とのこと。
どんな1日を送っているのか? どんなことに気をつけているか? など、参加者さんの質問に答えながら授業が進みます。
尾行対象者に気付かれないように、どう尾行するのか…?
同じ電車に乗るとき、対象者とどの位置関係にいるのが正解…?
ちなみに、探偵業は届出制。届出をしていないと、警察と連携もできません。例えば、張り込み中に近隣の方に怪しまれて通報されることもあるのだとか。そんな時、警察に届け出が出ていない探偵さんだと、アウトだそうです。(とはいえ、もちろん住居侵入などの不法行為は届け出が出ていてもNGです!)
ある程度基礎知識を学んだところで、いよいよ現役の探偵さんたちが登場。
山本さんと吉澤さんはベテランの探偵さん。リアルな体験談や、なぜ探偵になろうと思ったのか? など、周りの参加者さんたちもどんどん質問して盛り上がっていきます。
浮気調査にかかる費用の目安や、具体的にどんな尾行をするのか。気付かれたらどうするのか…など、参加者は皆、興味津々。
興味はあったものの、浮気調査ってドラマや映画の世界のことでなく、本当にあるんですね…!
さらに最新の「探偵グッズ」にも触らせてもらいます。
大事なのは「証拠を抑えること」だそうなので、カメラは必須です。
「では、早速、尾行体験してみましょう!」
ということで、学んだことをベースにいざ実践。
現役の探偵・山本さんが「対象者」となり、私たちが探偵役に! 対象者を見失わないようについていきます。できたら、対象者の写真を撮影するのもミッション!
そんな難しいことが果たしてできるのでしょうか…。
対象者を見失わないように付いて行くこと自体はなんとかできるものの、人混みに入った瞬間や雑居ビルに入り込まれてしまうと、どこにいるのかを捉えるのがやっと。
誰かと接触したかや、写真を怪しまれないように撮るなど、他にも同時に色々やっている本物の探偵さんはさすがとしか言いようがありません。
探偵の仕事で一番多いのは「待機」だそう。
対象者がカフェでコーヒーを購入するほんの10分の間が永遠のように長く感じられます。実際は何時間も、何日も待機することもざらにあるのだとか。
1時間弱の「尾行体験」を終え、対象者と共にまた探偵社に戻ります。体験してみてどうだったか、どう感じたかなどを探偵さんや参加者たちとディスカッション。
やはり皆見失ったり、付いて行くのがやっとだったとのこと。これを長期間張り込みと尾行を続けている探偵さんは、本当にすごい! まさに忍耐のなせるワザです。
それもこれも、クライアントの求めている結果をわかりやすく証拠を押さえ、報告するため。
そのために惜しみなく時間と労力をかけるというのは、「究極のサービス業」と言っても過言ではないと感じます。特に「人探し」の場合は、なんとか探し出してあげたい!と必死になるそう。
クライアントの満足度を高めるために、瞬間的な判断や、地道なフィールドワークや張り込みが成果をもたらす、根本的なことは、他のサービス業となんら変わらないのだと納得しました。
仕事旅行社との出会いがなければ踏み込むことのなかった「探偵になる旅」。この体験授業がきっかけとなって探偵学校に入学する人もいるのだとか。
私自身は探偵になろう!とまでは思いませんでしたが、クライアントのために働くという、私自身の仕事への向き合い方において大きな勉強になりました。
満足してもらうために、重ねられるものが、きっともっとあるはず。そんな気づきに満ちた旅だったと思います。
他の旅にも参加してみたいなと思うのと同時に、しばらく自分の背後に誰か付いてきていないかが気になってしまうというオマケ付きの旅でした。
稲垣美緒(Harumari TOKYO編集部)=取材・文
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