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奥深い最高品質“一番茶”の世界への“窓口”。「カネ十農園 表参道」

奥深い最高品質“一番茶”の世界への“窓口”。「カネ十農園 表参道」

少しとっつきにくいイメージがある高級な日本茶。しかし、四季を感じる華やかなスイーツや新感覚のデザートティーとしてなら、気軽に触れることができるのでは? 「カネ十農園 表参道」を“窓口”にして、摘みたての一番茶の美味しさを少しずつ日常に取り入れていこう。

 

まい泉通りと青山通りに挟まれた路地の一角で一際目を引く、紋章入りの大きな暖簾。1888年創業の静岡県牧之原市の老舗茶農園直営のティーサロン「カネ十農園 表参道」は、今もっとも注目を集める日本茶カフェといっていいだろう。

約130年にわたり茶農園として、大小さまざまな企業との卸取引に徹してきたカネ十農園が、一番茶のみを扱う自社ブランドを引っさげ、「カネ十農園 表参道」をオープンしたのは2018年6月のこと。

「一番茶とは、収穫時期を迎えた春で最初に摘むいわゆる新茶のことで、もっとも質の高いお茶の葉です。寒い冬を越すために栄養をたっぷり蓄えているので、旨味、甘味、香りが格段に違うんですよ」。そう話すのは店長の加藤大地さん。

店では、日本茶の真髄ともいえるその一番茶を使ったメニューをカウンタースタイルで提供する。表参道らしいモダンな装いだが、窓際に飾られた紅葉の植木や、い草で縫い上げられた畳張りのテーブルなど、随所に取り入れた和の要素がくつろぎの空間をつくり出している。

スイーツを含め、店で提供するすべてのメニューに使うお茶は、自社農園で栽培・加工した最高品質の一番茶だ。しかし加藤さんは、「確かに一番茶は二番茶や三番茶と格段に違う。でも“一番茶の特別な美味しさを感じてほしい!”などと、大それたことをいうつもりはない」と話す。

「今の時代は、市販品のお茶にしか馴染みのない方がほとんどです。もちろん、一番茶ならではの美味しさを体感してもらえれば嬉しいですが、何よりまずはお茶に触れ、普段飲んでいるお茶のいろいろな一面に出逢うことができる“窓口”でありたいと思っています」。

メニューを見てみると、急須で入れる各種日本茶を筆頭に、ラテ、カクテルと並んで「一番茶チーズホイップティー」の文字が。クリームチーズを加えたホイップクリームを、一番茶にのせたオリジナルのアレンジティーであり、この店の人気メニューだ。一見やや斬新にも思えるアレンジだが、高級日本茶を飲みに来たということを意識することなく、ひとつの新しいドリンクとして誰もが気軽に楽しめるだろう。

ラテやチーズホイップティーに選べるのは煎茶と焙じ茶……。そういえば、カフェの定番ともいえる抹茶がない。

「うちは茶農園ですから、ここでお茶に触れていただき、最終的には自宅で自分で淹れて楽しんでほしいと思っています。でも考えてみてください。普段、抹茶を“飲みもの”として飲まないでしょう? 日常で飲むのは、煎茶や焙じ茶のはず。だからここでも、“普段飲む”お茶に触れてほしいのです」。

煎茶らしいやわらかな苦味をクリームがまろやかに包み、チーズのほのかな塩気が全体を引き締める。大人が満足できる上品な美味しさだ。

また、2、3ヵ月ごとに変わる季節限定のシーズナルティーと、それにあわせたスイーツもこの店が注目を集める理由のひとつ。春には「桜煎茶」、夏には「レモン煎茶」、秋には「ぶどう煎茶」「栗焙じ茶」、など、茶葉自体に香りを加えたカネ十農園のオリジナルフレーバーティーは、まさにありそうでなかった日本茶の楽しみ方といえるだろう。

侘び寂びを重んじ、そのまま味わうことが正とされてきた日本茶では行われてこなかったアレンジだが、紅茶や中国茶のように、こういう飲み方があってもいいではないか。四季を感じられるとなれば、より日本らしさも増すというものだ。

「スイーツは、お茶が引き立つよう考えています」と、加藤さん。今年の春は、神奈川県産の桜花と葉桜をブレンドした「桜煎茶」に合わせ、桜アイスや自家製の桜ゼリー、桜あんチーズホイップに自家製煎茶蜜を添えた「カネ十あんみつ 〜桜〜」がラインナップ。華やかに桜が香る煎茶とあんみつが、春の訪れを感じさせてくれる。

こうして加藤さんと会話をしていると、厨房と一切敷居のないカウンターは実にいい距離感であることに気がつく。

「お客様とコミュニケーションをとる機会をつくりたくてカウンターにしたんです。お茶やスイーツ、そしてスタッフとの何気ない日常会話を通してくつろいでいただいて、少しずつでもお茶を身近に感じてもらえれば嬉しいですね」。

店内では茶葉の販売も行っており、ギフトとして買い求めに来る客はもちろん、カフェ利用の帰り際に購入して行く客も多いという。最高品質の一番茶ゆえに値段はけっして安いとはいえないが、手に取る人が増えているということは、その美味しさに触れ、価値に満足している証といえるだろう。

「四季を感じるスイーツが食べたい」「新感覚のデザートティーを飲んでみたい」。そんな理由からはじめよう。「カネ十農園 表参道」が“窓口”になって、普段飲んでいる日本茶が身近に感じられるようになれば、一番茶が自宅の食卓に並ぶ日は、そう遠くないだろう。

 

取材・文 : RIN

 

MORE INFO:

カネ十農園 表参道

エリア: 東京 / 表参道・原宿
住所: 〒150-0001 東京都渋谷区神宮前4丁目1−22
電話番号: 03-6812-9637
営業時間: 火曜日 11:00〜18:00
水曜日 11:00〜18:00
木曜日 11:00〜18:00
金曜日 11:00〜18:00
土曜日 11:00〜18:00
日曜日 11:00〜18:00
祝日 11:00〜18:00
定休日: 月曜日
公式WEB: https://kaneju-farm.co.jp/