HOME WELL BEING 菌と生きる。人は菌で始まり菌で終わる。 下川穣氏の菌トークが間近で聞ける、話題の「菌セミナー」参加レポ
下川穣氏の菌トークが間近で聞ける、話題の「菌セミナー」参加レポ

VOL.4 下川穣氏の菌トークが間近で聞ける、話題の「菌セミナー」参加レポ

人々が持つ菌のイメージを変え、生活に根付いた菌ケアを提唱するKINSでは、菌にまつわる様々なセミナーを開催している。どんな内容なのかを知るために、編集部では、「“菌”を知る」と題したセミナーに参加させてもらった。このセミナーでしか聞けないとっておきの情報なども飛び出しながらの、あっという間の2時間。今回はその様子を紹介する。

歯科医師から、KINSの代表取締役へと転身

芝浦の某所で開かれた今回のセミナー。KINS(キンズ)のサービスを受けている人なら、申し込めば参加できる。とても華やかかつ和気藹々とした雰囲気のなか、下川さんの自己紹介からスタートした。

この日は12名の女性が参加。

「もともと歯科医師だった僕は30歳のとき、細菌叢(さいきんそう)と遺伝子を扱うクリニックで理事長を務めることになりました。そのクリニックには、化学物質過敏症で重度のアトピー性皮膚炎を患う方やうつ病、自己免疫疾患を患う方々が足を運ばれていました。普段からそんな患者さんたちを相手に遺伝子や菌のバランスを診ていたのですが、一方で理事長を務めていたので、様々な分野の論文や有識者の方々が集まり、日夜、菌や遺伝子の情報や知識を浴びる生活をしていました。」

「それがちょうど今から5年ほど前の話なんですが、当時、医療の現場で菌などの研究が本格的にスタートしたタイミングだったのです。タイミングよく僕もクリニックで理事長を務める傍ら、東大との共同研究をスタートさせて、さらに深く菌を学ぶことになりました。今思うととても恵まれた環境だったと思いますが、当時はとにかく忙しくて地獄のような日々でしたが(笑)。

でもそんな中で、そもそもそういう疾患を患う人々を生まないことを目指そうという考えに至ってきて。言うなれば“菌の民主化”を目指して、KINSを立ち上げたんです」。

そういえば下川さんは、前回のインタビューの中でも「恵まれた環境に身を置き、そこで菌について知れば知るほど、それに対する対処療法ではなく、その病気にかからないようにすることに意識が向いていった」と言っていたのを思い出した。医療業界で確かな経験と知識を積み重ねたからこそ、菌の重要性を伝えることに辿り着いたのだ。

菌ケアのためのワークシートが用意されていた。

人体に1000兆個ある菌と、女性ホルモンの関係

そして下川さんが本当に伝えたい「菌」の話へ。ここでも、そもそも菌とはどんなものなのか、現代人にとって菌が必要な理由について教えてくれた。

「菌というとピンとこないかもしれませんが、アクネ菌や表皮ブドウ球菌、虫歯菌のほか、女性なら膣の中にも菌はいます。それらすべての菌が連携しているのに、例えば今の人々はマウスウォッシュを当たり前に使いますよね。そうすると口腔内にある良い菌も殺してしまう。人間は1日2リットル近く唾液を飲んでいるのですが、良い菌が腸内に入ってこないので腸内環境は悪化し結果的に、マウスウォッシュをすればするほど糖尿病になるという事実がハーバード大学の論文に出ています」

良かれと思って菌を殺してしまうと結果病気になるという、驚きの事実が飛び出したところで、女性ならば誰もが気になるホルモンの話に。

「腸と脳、腸と皮膚が繋がっているのはいうまでもないのですが、腸と膣も同じです。腸とエストロゲン(女性ホルモン)の話をしたいのですが、子宮筋腫、子宮内膜症、乳がん、更年期障害、生理痛やPMSなど、女性特有のトラブルはエストロゲンが多くても、少なくてもいけない。さまざまな菌が集まり、多様性があるにもかかわらずそのバランスが崩れてしまうと、エストロゲンが安定しない。エストロゲンが減れば減るほど、太りやすくなり、肌も荒れ、心疾患になる。逆にエストロゲンが過剰になればなるほど、子宮内膜症になったり女性器系統のガンになりやすくなる。大切なのは、腸も皮膚も膣も菌の多様性が維持できているということなのです」

腸脳相関や皮膚、そして女性なら一生付き合っていかないと行けないホルモンさえも、菌が関わっているなんて。初めて聞く話ばかりで、つい熱心に聞き入ってしまう。参加した人たちは激しく相槌を打ちながらメモを取っていた。

私たちのスキンケア用品の選び方は間違っている。

そしてここで、またしても衝撃の発言が。

「今いらっしゃるみなさんの、スキンケア用品の選び方は率直に言って間違っていると思います」

実は私自身も、使い心地やさまざまな口コミ、価格と参照した評判などを基準に、ドラッグストアやデパートでスキンケア用品を選んでいた。いや、大体の人がそうではないだろうか。 そんな人たちのために、下川さんが教えてくれたのは「界面活性剤と防腐剤を抑える」ということだった。

「スキンケア用品を作る上で、無視できないのが界面活性剤と防腐剤です。どうしても化粧品の成分と液体を混ぜる上で欠かせないのが界面活性剤による乳化なのですが、それによって角質の陰に隠れている美肌菌がいなくなってしまいます。とはいえ、界面活性剤を排除することはできないので、乳化レベルの低いものを選ぶようにしましょう」

なるほど。菌のことをきちんと知ってからだと、どうしてその成分がよくないのかも腑に落ちる。それに、菌ケアを実行して美肌になった下川さんの言うことなので、納得できてしまうのだ。こうやって、話をしっかり理解しながら進んでいくので、時間はあっという間に過ぎていく。

最後は駆け足で菌ケアの話を!

そして最後に、具体的な菌ケアの話へ。前回の記事でも紹介した、「菌を入れる、育てる、邪魔をしない」三か条の話だ。

「まず「菌を入れる」のは納豆や糠漬けなど、発酵食品をとりましょう。植物性のエストロゲンですね。あとは自然と戯れること。家庭菜園をして土に触れたり、泥にもいいカビ菌がありますので。そして「育てる」、これはゴボウや海藻、きのこを摂ることをおすすめします。最後に、菌の活動を「邪魔しない」。それにはストレス、グルテン、アルコールを排除することです。しかし排除と言っても、そう神経質になってストレスを溜めるのは良くないので、小麦類などはほどほどに控える程度で良いと思いますけどね」

セミナーを受けて印象的だったのは、下川さんの話が噺家さんの高座を見ているような面白さだったこと。そして、具体的かつ、日常生活に取り入れやすいキーワードを出してくれるので、理解が深まるだけでなく、気軽に菌ケアを始めようと思えるものだった。

ちなみにこちらは、合間で出てきたお弁当。数年前にメディアで紹介され、その美しい見た目から火がついた寺井幸也さんの#幸也飯。雑穀米ご飯に鯖と唐揚げ、新鮮な野菜、と馴染みのあるメニューに見えて、これは菌のことを考えた、「菌ケア弁当」なのだ。菌への理解が深まった後だからこそ、食材の一つ一つが意味のある存在になる。

私は帰り道にゴボウとしめじなどのキノコ類を大量に買って帰り、生活習慣をできることから見直してみた。まずは、菌を知ることから。体も心も美しくなるために、始めてみてはいかがだろう。

 

文:松倉和華子
撮影:河野優太