HOME WELL BEING SPECIAL タクシー運転手が語るコロナ渦中の観光地のリアル【東京編】
タクシー運転手が語るコロナ渦中の観光地のリアル【東京編】

タクシー運転手が語るコロナ渦中の観光地のリアル【東京編】

一部の報道では、昨年並みに街に人が戻ったといわれつつも、レジャーや観光産業はまだまだ新しいスキームを模索している状況。とはいえ、「Go To キャンペーン」に東京発着が加わるなど、都内の旅行解禁ムードも加速しつつある。ここ数ヶ月の東京の街の変化を当事者として見守ってきた、「日本交通」観光タクシーのドライバー、須賀進さんにいまの想いを訊いた。

“桜にN”でおなじみの都内最大のタクシー会社「日本交通」。そこで11年間、ドライバーを務めている須賀さんは、資格や試験を突破し「日本交通」のなかから選抜された観光タクシーのエキスパートドライバーでもある。新型コロナウィルスが猛威を振るい始めた3月頃は、例年ならお花見ツアーで観光タクシーが大盛況となる時期とのこと。しかし、今年はその予約の9割がすべてキャンセルとなってしまったという。

ドライバーの手洗いうがい、検温といった基本的な感染防止対策はもちろん、車両の消毒をこまめに行なっている。

「ちょうどその頃は業界全体の売上が半分以下になった時期で、最もひどい時は7割減くらいにまで落ちました。通常のタクシー業務においても、通常なら1日に平均して25〜30回ほどお客様が乗車していたのですが、それが14回以下と半分に減り、営業になりませんでした」

そんな状況のなか緊急事態宣言が発出され、都内はより人がいない状態に。「日本交通」のなかでも、子供の送り迎えなどのキッズタクシーや介護のためのサポートタクシーなどの分野では、密を避けれるため売上は変動しなかったとのこと。一方で、観光タクシーは需要がゼロになり、須賀さんは2ヶ月間休業することになったという。

「国の方からタクシー事業は事業継続要請といって、休まずに医療関係者や緊急の方を乗せる公共交通機関として稼働が続けられていたものの、緊急事態宣言中の約2ヶ月は事業所単位で順番に休業措置も行っていました。我々の所属する事業所は、人がいないのに下手にガソリン代や経費がかかってしまうことから休業していました」

車体には東京観光タクシーのマークのシールが貼られている。

そんな2ヶ月の休業を経て街に復帰した後も、客足が戻らない期間が続いたという。

「緊急事態宣言が解除された6月以降も、観光タクシーはもちろん、通常の営業も飲食店の営業時間が10時までだったこともあり、夜の街には人の姿がほぼありませんでした。ただ、その頃から会社へ出勤する人も増えてきたため、タクシー出勤のニーズが増え、昼間は普通に稼げるようになってきました。なので、私たちの中には勤務時間を昼間中心に変えてた人もいました」

観光タクシーにはパノラマルーフから、外の景色が眺められるようになっている車両がある。

それから数ヶ月たち、都内の飲食店の時短営業が解除や、「Go To キャンペーン」に東京発着が加わるなど、徐々に日常を取り戻しつつある東京の街。秋の気配もチラつくようになり、例年なら紅葉やイルミネーションなどフェスティブシーズンならではの観光タクシーの需要が増える時期だという。

「観光タクシーに関しては春と状況は変わらず、なかなかお申し込みがなくて残念です。一方で、飲食店の営業も通常通りに戻りましたし、普段の営業に関しては以前と同じぐらいに落ち着きつつあります。タクシーの車内は、エアコン稼働下でも約1分で空気が入れ替わり、電車などの他の交通機関と比べて換気能力が高いのが特徴です。かつ、ドア・ツー・ドアで稼働できるので、むしろこういう時期だからこそ皆さんにもっとタクシーの使い方を知ってもらえるといいなと思っています」

東京シティガイド検定やユニバーサルドライバー研修をはじめ、社内の厳しい研修をパスした東京観光タクシードライバーの須賀進さん。

須賀さんがそういうように、3密を避けれてかつ自分の好きなようにアレンジできる観光タクシーは、ある意味ニューノーマルな時代の移動手段に適しているといえるだろう。さらに観光においても、タクシーならではの細やかな移動やアレンジが効くため、家族や友人など最小単位で利用するにはもってこいだ。これまでとは違った方法で街巡りすることで、東京の街の見方が変わるかもしれない。(2020年9月23日撮影)