HOME WELL BEING OKINAWA(沖縄の旅の今) スラムダンクのモデルといわれる名将・安里幸男が語る、withコロナと沖縄バスケ
スラムダンクのモデルといわれる名将・安里幸男が語る、withコロナと沖縄バスケ

スラムダンクのモデルといわれる名将・安里幸男が語る、withコロナと沖縄バスケ

東京オリンピック・パラリンピックが延期になるなど、新型コロナウイルスによって大きな影響を受けたスポーツ界。2023年にFIBAバスケットワールドカップが行われる沖縄にとっても、決して他人事ではなかった。人気漫画・スラムダンクの「田岡監督」のモデルになったともいわれている安里幸男さんと、沖縄バスケットボール情報誌「OUTNUMBER」の編集長・金谷康平さんに、スポーツ界の今とこれからについて話を聞いた。


「弱冠66歳。まだ日本一になっていないから、今もしつこくやっています」

と、頭から熱い思いを話してくれたのは、前原高校でバスケットボールのコーチを務める安里幸男さん。6年前に定年を迎えてからは外部コーチとして指導を行っているが、辺土名高校、北谷高校を全国3位に導いたことで沖縄では伝説的な人物であり、全国的にも有名な指導者である。そして井上雄彦氏の人気漫画、「スラムダンク」に登場するキャラクター、田岡監督のモデルであるともいわれている。

「1991年の静岡インターハイで優勝候補とされていた(当時)関東1位の東海大浦安を3回戦で倒して、北谷高校は注目されました」

北谷高校が快進撃を見せたその時の大会に、井上氏が取材に来ていたのだという。

「『勇猛果敢』と書かれた陵南高校の横断幕なんかは、まさに北谷高校のものですね。そのうちに、どこからか田岡監督に似ていると言われ始めて。井上さん自身が言っていたことはないんですけどね。でも、よく見ると耳の角度は似ているんですよ」

安里幸男さん(写真右)金谷康平さん(左)

田岡監督は、主人公たちの湘北高校のライバル校、強豪・陵南高校を率いる監督であり、熱いキャラクター。安里さんの熱い人柄にも通じるところがある。
この日、一緒にインタビューに答えてくれた金谷康平さんは、安里さんについてこう語る。

「ただならぬ方ですよ、弱冠66歳と言っていますが、心は小学生のような。気持ちが本当に熱い方。僕は中学2年の時に安里先生率いる北谷高校のバスケを見て、影響を受けたことで、バスケの情報誌を立ち上げることになりました。全国にもファンがたくさんいます」

自身も安里さんに影響を受けた一人だと話す金谷さんは、雑誌「OUTNUMBER」の編集長を務める。「OUTNUMBER」は、2018年に創刊した、沖縄に特化したバスケの情報誌だ。

「安里先生のような方もいたりと、実は沖縄はバスケの歴史がユニークなんです。2023年には沖縄でバスケのワールドカップがありますし、県民だけでなく日本全国の盛り上がりにしたいと思っています」

バスケットボールを心から愛していることが伝わってくる、安里さんと金谷さん。
そんな2人だからこそ、今回の新型コロナウイルスについては、その影響の重さを強く感じていた。

「高校バスケも非常に深刻な影響を受けました。まず、選手のモチベーションが切れてしまうんですよね。例えば3年生なら、本来なら6月で大会が終わって、引退して受験に向かいますが、それが1か月半も延びてしまうと選手のモチベーションが上がらなくて引退をしてしまう。選手がごっそり辞めてしまったチームもあるので、コーチも大変ですよね、指導法を考えないといけない。僕も、指導法を勉強しているところです。これは沖縄だけでなく、全国的な問題ですね」(安里さん)

受験を控える3年生にとっては、次のステージに向かうための、ある種の「区切り」でもあった。それができなかったことは選手にとって非常に辛い経験だったのだ。
また、モチベーションだけでなく、体力の低下も、大きな問題の一つだ。6月の半ばくらいまでは土・日曜の対外試合が禁止されるなどの制限があり、試合ができない中で体力の低下を避けられず、選手もコーチも辛い思いをしたという。さらに安里さんは続ける。

「インターハイや甲子園がなくなって落ち込んでいる中で、マスコミなどが、この経験が将来のためになるというがそれは違うと思うんです。そういうことは、選手が落ち着いてからいうべき。混乱している時にそんなことを言ったって受け入れられないですよ。大人は寄り添うべき、ああだこうだ言わない、暖かく見守ることが大事。子どもの立場に立ったら、やはりショックは大きいですよ」

一方、金谷さんは、沖縄の「琉球ゴールデンキングス」も所属するBリーグにとっても厳しい年になったと話す。

「シーズンの中では、5月にチャンピオンが決まるので、3・4月は終盤戦のボルテージが上がってくるタイミング。そういった意味では、このようなこと(シーズン終了)になったことはファンとしては残念ですし、球団を経営する人にとっても死活問題。Bリーグはまだ発展途上なので、資金があるチーム、ないチームで明暗が分かれています」(金谷さん)

なんと、5月まで続くリーグが、コロナ禍で3月で打ち切りとなったために試合がなくなり、入場料などが少なくなった各クラブは厳しい状況に追い込まれているという。資金力や知名度があるかないかでリーグ内でチームの今後が分かれているのだ。非常に厳しい状況ではあるが、リーグ全体としてはただ悲観するのではなく、いまできることを模索する動きが始まっているという。

「野球やサッカーは無観客で試合が始まっている。そこで得られた実績や検証をもとに、いま、Bリーグでもお客さんを入れられるか、いくつかの想定をしながら方法を模索しています。デジタルを取り入れた新しい楽しみ方など、コロナ禍で色々考え出しているので、そういう意味ではプラスの要素もあります。制限がされる中で、やはり生でスポーツを見るのは良い、ということが再認識されているかと思うので、そういう勢いを2023年のワールドカップにつなげたいですね」(金谷さん)

安里さんも金谷さんも、スポーツが持つポジティブな力を信じ、試合の熱狂が戻ってくることを願っていた。そしてこれは、スポーツを愛する人全員の思いでもあるだろう。

私たちができることは、今はコロナを我慢すること。そして、その中でも新しい価値観を発見すること。これまでのような観戦スタイルは難しくとも、テクノロジーによって応援ができる場は整ってきている。コロナを乗り越え、沖縄が元気な状態でワールドカップを迎えることを楽しみにしたい。

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