HOME WELL BEING HOKKAIDO(北海道の旅の今) タクシー運転手が語るコロナ渦中の観光地のリアル【北海道札幌編】
タクシー運転手が語るコロナ渦中の観光地のリアル【北海道札幌編】

タクシー運転手が語るコロナ渦中の観光地のリアル【北海道札幌編】

例えば、旅行先でたまたま停めたタクシーのドアが開いた瞬間、艶っぽいピアノの音が流れてあなたを迎えてくれる。そのサプライズはきっと忘れられない思い出になるだろう。そしてそんなタクシーを実際に運転するのが、札幌の名物タクシー「Jazz taxi」のドライバー・小室政司さんである。地元でも有名な小室さんに、コロナ渦中の観光地のリアルを聞いた。


札幌のタクシー会社・小鳩交通でドライバーを務める小室政司さん。ジャズ好きの小室さんが、乗車時に車内でジャズを流すようになったのは、もう12年も前のことだ。

「小さいスピーカーを持ち込んでジャズを聞いていたら、お客様から『心地よい時間をありがとう』と言われることが多かったんです。そこで、本格的に『Jazz taxi』として走ることを会社に提案し、了承をもらいました」

車両そのものは小鳩交通の他の車両と同型のため、見た目で「Jazz taxi」かどうかは判別できない。だが、それがサプライズを生む。

「ご予約を受けたり、貸切で利用いただくことも多いですが、街中を流していることももちろんあるので知らずに乗る方もたくさんいます。皆さん、最初は面食らうようですが、しばらくすると気持ちよく、音に身を委ねていますね。『今日は久しぶりに我が家のレコードを引っ張り出そうかな』とか、『もっと聴いていたいから迂回して』なんて言ってもらえると感無量です。気が引けて、あまり遠回りはできないんですけどね」

小室さんの座右の銘は「耳で聴いて頭で考えるな。毛穴で聴け」だ。とにかく楽しく聴くのが一番と笑う小室さん。その日にちなんだ曲が流れると、見事な話術で解説をつけてくれ、それがまた楽しい。しかし、コロナでその状況は一変した。

「ステイホームが叫ばれていた時期は、すすきののネオンも消えていました。夜、市街地の東を流れる豊平川沿いを走ると、川向こうの街の明かりがきれいなのですが、それもまばらでした。そんなことは昭和40年代のオイルショック以来。タクシーの利用者も通常の9割減まで落ちました。少しずつ街に人が戻ってきてはいますが、まだまだといった印象ですね」

小鳩交通では、定期的な車内のアルコール消毒、換気、マスクでの接客を徹底し、ドライバーの出社時には検温も行っている。このほか、小室さんは独自に車内に表示を設置したり、お客様用に手指の消毒液やマスクを持ち歩くなど、さらに細やかに気を配っている。

「北海道は本当にいいところ。私のおすすめは、日本新三大夜景に選ばれた藻岩山のパノラマに広がる夜景。藻岩山は車で登ることもできて、夜、ジャズを聴きながら山頂へ向かうととてもロマンチックです。まだまだ予断を許さない状況が続いていますが、新しい生活様式、新しい遊びを見出していけるよう私たちも努力しています。落ち着いたら、また以前のように遊びにきていただきたいですね」

「Jazz taxi」ドライバー 小室政司さん

小室さんのその言葉は、北海道に暮らす多くの人が同じように抱える思いだ。国内外から多くの人々が集まり、笑顔が花咲く街・札幌。その日常を一刻も早く取り戻せるよう、多くの人々が地道な努力を重ねている。『Jazz taxi』も、ドライバーと乗客が互いに安心して過ごせる空間をつくりながら、札幌の街を走り続けていく。(2020年7月21日撮影)

小鳩交通札幌支店

住所:〒063-0051 札幌市西区宮の沢1条5丁目22-1

公式WEB:https://www.kobato-kotsu.com/