オンラインを中心とした新しい生活様式によって、偶発的に“何か”に出会うチャンスを失っているのかもしれない。もし漠然とそんな思いがよぎったら、10月2日(金)からスタートする横浜・象の鼻パークでのアートプロジェクトにアクセスしよう。現地及びオンラインで実施される多彩なパブリックアートは、その表現、アイデアで、私たちの創造性を刺激してくれる。
不要不急の外出が憚られる昨今、目的地以外の場所にふらりと立ち寄ることもなんだか減ってしまった。散歩のついでにちょっと足を止めてみる、いつもの通り道に知的好奇心をくすぐる何かを見つけるーー寄り道に思えるようなそんな瞬間が創造力を高めるきっかけになることは少なくない。そしてまた、デザインされた公共空間で偶発的に出会うアートに刺激をもらうこともあるだろう。
その街に住む人や道ゆく人の心を楽しませたり、せわしない日常の思考から少し離れることでまた違う角度から物事を考えることができたり。豊かな公共空間とそこにあるアートが、思いがけず自分の中に小さな「余白」をもたらしてくれるのだ。
「ZOU-NO-HANA FUTURESCAPE PROJECT2021」は、アートで彩られた公共空間において、より刺激的でより楽しい時間を過ごすための社会実験プロジェクトだ。
2019年にスタートし、3回目となる今回は「ニュー(ノーマル+クリエイティブ)ライフ」をテーマに掲げ、「環境」「災害」「食」「健康」「教育」「花と緑」という6つの柱を軸に実施される。
見どころは、アーティスト高橋匡太による「ハローサンリク」。東日本大震災を機に考案された「ひかりの実」という参加型アートの特別プログラムだ。果物を育てるときに使う「果実袋」に参加者が笑顔を描き、LED電球を詰めることで色とりどりの笑顔が夜景を彩るというもの。小学校の美術教科書(開隆堂出版)にも掲載されるなど、幅広い世代から注目を集めている。
このほか、SDGs発想を取り入れた展示やパフォーマンスが行われるアートプログラムには、スイッチ総研をはじめ5組の招待作家が参加。また過去に象の鼻テラスに展示されたアーティストの作品を展示する「ゾウノハナ・コレクション」や「ミュージック&マルシェ」、ウィズ&ポストコロナ時代の公共空間について議論する「FUTURESCAPE SUMMIT 2021」などの実施を予定している。
横浜に、新しい日常を創造的に生きるヒントが集う1ヶ月。ここに来れば、身近な公共空間の捉え方、過ごし方も変わってくるかもしれない。多彩なパブリックアートにアイデアをもらい、心に小さな余白を持てたら、しなやかな創造力も高まっていくだろう。
ZOU-NO-HANA FUTURESCAPE PROJECT 2021
2021年10月2日(土)~10月24日(日)
https://fsp.zounohana.jp
メイン画像:象の鼻テラス開館10周年記念・「フューチャースケープ・プロジェクト」(2019)象の鼻パーク Photo:Ryusuke Ohno(©︎Arts Commission Yokohama)
RECOMMENDER:
白石 亜希子
Harumari TOKYO編集部