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【会期終了】ふたりの写真家の往復書簡が展示に。圧倒的な美しさと対峙する

VOL.88 【会期終了】ふたりの写真家の往復書簡が展示に。圧倒的な美しさと対峙する

藤井保と瀧本幹也。両者とも、日本の写真界において名を知らぬ人はいない写真家だ。彼らの思いがこもった写真と対峙できるまたとない展示が明日11月28日(日)まで開催している。写真が語る“今”、そして“その先”を感じよう。

写真は他のアート作品と同じく、その良し悪しを判断する基準はあるようでない。観る人の価値観に委ねられるところが大きいからだ。ならば、よく耳にする「良い写真」とは何なのだろうか。現在開催中のふたり展「藤井保 瀧本幹也 往復書簡 その先へ」を訪れれば、その答えがわかるかもしれない。切り取られた一瞬に込めた写真家の想い、そしてその1枚からより深く”何か”を感じ取ろうとする自分に出会うだろう。

藤井保
瀧本幹也

藤井保の代表作のひとつといえば、JR東日本「その先の日本へ。」。東北の原風景を撮影した作品だ。当時18歳だった瀧本幹也は、その写真に心を動かされ藤井の元で写真を学び始めた。それから29年、今では師弟の垣根を超え、互いに刺激しあう写真家としての絆を築くまでに至った。

今回、恵比寿にあるMA2 Galleryオーナーの勧めもあり、ふたりは展示内容の方向性を探るべく、2019年6月から、写真を主としたメールでのやり取りを続けてきた。その期間、実に2年半。日常で感じた些細なこと、仕事にまつわること、写真への考え方などを互いに伝え合い、気軽に撮ったiPhoneやiPadの写真、未発表の過去作品なども送り合った。
その間、予測していなかったコロナ禍の影響もあり、なんと藤井は島根への移住を決意。40年以上撮りためた自身の作品をひとつひとつ見つめ直し、展示作品を選び抜いた。一方で、瀧本はそれに呼応するように新作を手掛けていった。

foggy island photo by Tamotsu Fujii
SNOW MOUNTAIN#05 photo by Mikiya Takimoto

会場となるMA2 Galleryは4階層のギャラリー。1階では、ふたりの出会いとなった藤井の「その先の日本へ。」(1992)を端緒に、世界中を撮影してきたふたりならではの大自然の写真を展示。2階では、ふたりが今だから伝えたいメッセージ写真が並んでいる。また、3、 4階では、この展覧会のためだけにふたりが選んだ、ポラロイドをひとつのフレームの中に組み合せた作品と、往復書簡のやり取りから生まれた組み写真も披露している。特に、このポラロイドを組み合わせた作品は、日頃のふたりの関係性、また思考の一端を垣間見られるようで非常に興味深い。

往復書簡をまとめた書籍も

そして今回、ふたりのやり取りをまとめた書籍も発売された。巻末には、MA2Galleryディレクターによる寄稿も掲載しており、また違った角度から展示を知ることができる。
美しい佇まいのブックデザインは、アートディレクター・葛西薫によるもの。持っているだけでも嬉しい一冊だ。

1枚の写真が心を動かす時。それは、自分の既成概念や想像の域を超えた時、あるいは日常見慣れているものが全く違う顔を見せてくれた時だろう。藤井保、瀧本幹也の写真を前にすると、観ている自分も何かを感じ取りたい、ふたりの思いを汲み取りたいという気持ちが働く。

圧倒的な美しさの作品を通し、彼らの眼差しの先にあるものを見届けよう。

藤井保 瀧本幹也 往復書簡 その先へ
会期:2021年10月30日(土)〜11月28日(日)
会場:MA2 Gallery
住所:東京都渋谷区恵比寿3-3-8
開館時間:水〜日 13:00〜19:00
URL:http://www.ma2gallery.com/

書籍『藤井保 瀧本幹也 往復書簡 その先へ』(グラフィック社刊)
価格:¥2,530 (税込)
サイト:http://www.graphicsha.co.jp/detail.html?p=46133