料理好きの人ならば「このお菓子、もしかして売れるんじゃ…」と一度は考えたことがあるはず。じつは最近、この夢を実現できる施設が登場している。 “日替り飲食店”として、訪れる人にも魅力的なシェアキッチン「8K」に足を運んでみた。
西武池袋線ひばりヶ丘駅から徒歩15分。ひばりが丘団地の一角に建つHIBARIDO(ひばりどう)は、キッチン、ショップ、ワークスペースを共用できる月額・会員制のシェアデパートメント。ここでは、飲食店や雑貨店を開いたり、副業の拠点を構えたり、さまざまな「仕事場」として利用することができる。

その1階にあるのが、シェアキッチン「8K(ハチケー)」。たとえば月曜日に行けばパン屋さんが、翌日のぞけば手作りおにぎりの店と焼き菓子屋さんがと、異なる飲食店が営業中。毎日異なる食欲をそそる香りを漂わせている。

8Kは業務用設備を最大16人の会員で共用できる施設。「飲食店営業」と「菓子製造業」の営業許可を取得しているため、材料さえ持ち込めば、オリジナルの屋号、メニューで憧れの飲食業がはじめられるというわけだ。ひとつのキッチンの中には、同時にふたつの店が営業できるよう機器が整っていて、会員は月30時間までなら27,000円(別途 共益費)で利用可能。申請方式で利用時間を決め、その日は「自分の店」をオープンすることができる。
とある水曜日のお昼すぎ、8Kに足を運んでみた。“今日の店”はマフィンやタルトなどの焼き菓子を販売する「Patisserie cache cache coucou」(パティスリー カシュカシュククー)。この店を運営するのは、近くに住む主婦の清水唯香さん。キッチンを利用する会員の多くは、彼女のような周辺の市区町村に住む主婦たちだ。
「将来は店を持ちたい!」という会員もいないわけではないが、「主婦業のかたわら、週に1日でいいからお菓子を作って売ってみたい」「自分と同じようにアレルギーに悩む子供を持つママのための食事を提供したい」。日常の中で抱き続けてきた、そんな何気ない願いを実現させているという。

まだほんのり温かい「りんごシナモンのタルト」をカフェスペースでつまんでいると、さまざまな客がやってくる。小さなこどもを抱っこしたママは、3時のおやつを調達しに来たようだ。スーパーの袋を提げた買い物帰りの老夫婦は、マフィンひとつをふたりで分け合いながら一息つき、サッとその場をあとにした。テイクアウトとイートインが選べる点も、客としては気軽に利用しやすい。

「先週買ってとっても美味しかったから、表の看板を見てまた来ちゃったわ」。そんな声も聞こえてくる。営業日は会員が自分で発信する。主流ツールはインスタグラム。こまめにチェックし熱心に通うリピーターもいれば、半数ほどは偶然立ち寄る初めての客。まだまだ広がりを見せる途上のようだ。「次はいつ出会えるかな?」「今日は何屋さんがいるだろう?」 毎日の生活の中で8Kは、この場所を訪れる人にも小さなワクワクを与えている。
同じスタイルのシェアキッチン「8K」は、ここひばりが丘で3軒目。数年前からオープンしている小平市と武蔵境の施設は常に空き待ち状態で問い合わせも絶えないという。ちょっとした自分の夢を叶えたいという人は少なくない。

2019年1月現在、ひばりが丘の8Kにはパン、焼き菓子のほか、おむすびや、カフェランチなどさまざまなジャンルの店が揃う。2店舗同時営業の日にはお互いにサポートし合い、有志の発案でマルシェを開催することも。8Kをきっかけに新たな交流が生まれ、会員のワクワクも高まっている。

2019年春には4つめのシェアキッチンが小金井市にオープン予定。ぜひ近くに施設があるなら、立ち寄ってみてほしい。「今日は何屋さんの日かな」。日常に小さなワクワクがプラスされれば街での暮らしがもっと豊かになる。そしてもし「自分の店」を諦めている人がいるなら、シェアキッチンという選択も考えてみてもいい。週1で自分のお店を持つ体験は、日常に張りを与えてくれるに違いない。客として、運営者として、8Kとはさまざまなかかわり方ができそうだ。
取材・文:山本 愛理
| エリア: | 東京 / その他 |
|---|---|
| 住所: | 〒202-0001 東京都西東京市ひばりが丘3丁目2 交番前(バス) |
| 営業時間: |
月曜日 6:00〜23:00 火曜日 6:00〜23:00 水曜日 6:00〜23:00 木曜日 6:00〜23:00 金曜日 6:00〜23:00 土曜日 6:00〜23:00 日曜日 6:00〜23:00 祝日 6:00〜23:00 |
| 公式WEB: | https://hibarido.life/8k/ |
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