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IT×おでかけ

とどまることを知らないITの進化。活用次第で楽しい時間もさらに進化しそう。知られざるおでかけスタイルの最先端

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10口飲むだけで好みの日本酒がわかる。試飲データによるAI判定のスゴい実力

YUMMY SAKE COLLECTIVE

米麹の発酵によって作られる日本酒の始まりは、それこそ稲作の歴史に端を発する古いものだ。杜氏の技で仕立てられるアナログの手仕事。およそテクノロジーとは無縁に思えるけれど、どうやらそんなこともなさそうだ。

代官山にオープンしたAI酒屋バー「YUMMY SAKE COLLECTIVE」では、AIによる日本酒のブラインドテイスティングが楽しめことは、こちらのレポートの通り。10種類の日本酒のテイスティングをし、AIを使って自分好みの日本酒のテイストがわかるというものだ。「アワアワ」「パタパタ」など12種類の“ヤミータイプ”に分類される。一種独特な言い回しだけれども、これがまた言い得て妙だったりして、さらにその味は実にしっくり来るものだった。その裏にはどんなテクノロジーがあって、どんな経緯で誕生したのだろうか。

実は日本酒って、数あるお酒のなかでも難しいジャンルだった

「とくに日本酒は製法が複雑で、難しい製品なんです。パラメータがワインよりも多く、用語が数多くあります。つまり“ジャケ買い”の難易度が高い。また言語も壁です。海外のお客様が日本にいらして、どう選択すればいいのか。そこで知識と国境の壁を越え、「味覚の共通言語化」を目指したのがキッカケです。消費者がシンプルにテイスティング体験を行うことで、数多くのお酒をシンプルに選べる。お店に行ったときに、自分が好きなものを容易に選べるようになります」

こう語るのは、YUMMY SAKE CEOの山本祐也さん。かくして、日本酒の味覚判断システムの開発がスタートしたという。とはいえ、市場にある商品は膨大で、味覚を定める指針もない。そこで、地道にテイスティングしてデータを蓄積することにした。YUMMY SAKE CCOの中島琢郎さんが続ける。

利き酒のプロとユーザーの味覚データを解析してAIを開発

「私には日本酒の知識がありませんでした。そこで未来酒店と組んで、大量に試飲するところから始めたのです」
利き酒のプロが、数十項目で評価し、ユーザーの味覚データと照らし合わせて検証したという。

「どういう分類をすればユーザーに有益なのか。味をどういう方向で定めるのが適切かを検討し、最初に16方向を定めました。日本酒に詳しくないビギナーの方々に入ってもらって、オノマトペでいうとどうなるか、どう表現すればいいかを考えていきました」

こうして12種類のヤミータイプがまとめられ、好みの日本酒がたちどころに判断できるソリューションが完成したというわけ。しかしこのデータは、私たちの味の好みを判断するばかりでなく、将来的にはマーケティングのデータにも活用できるとか。

普及により、さらに好みに合った日本酒が誕生するかもしれない

「若い女性はフルーティな吟醸系が好きだという認識が業界にはありますが、実際には高く点数付ける人と低く付ける人が男性よりもはっきり分かれるんですね。また実は、かなりコクの強いお酒が好きだという女性もいる。このようなデータからの発見は商品開発やマーケティングにも応用していきたいと考えております」(中島さん)

現状は当初のテイスティングによるデータを活用していくが、ナレッジの蓄積により、ユーザーによる診断結果が蓄積されていけば、そのビッグデータを活用した診断アプローチも検討していくという。そうなれば、ユーザーの利用が広まるほどに精度が高くなっていくということ。

知っているようで意外と知らないのが自分の好み。AIによる判定で、思わぬ好き嫌いが判明する体験はきっと楽しいに違いない。と同時に、未知の味覚体験は驚きを伴うもの。日本酒を通したエキサイティングな体験をしに、出かけてみるのも悪くはない。