logo
2019.6.8

レトロ喫茶店ブームと一線を画す、これぞ“正統派喫茶”の風景が渋谷にあった

青山壹番館 渋谷店(あおやまいちばんかん)

昨今、街は喫茶店ブーム。若い女性や外国人観光客がカメラを構え、クリームソーダやナポリタンが熱烈に人気を集める。だが元々喫茶店は「サラリーマンの憩いの場」であったように、日常の中に自然にある存在だったはず。実はその昭和の風景がまだ渋谷にあるのだ。

金王神社の参道近く。凛とした空気を纏ったエリアに「青山壹番館 渋谷店」はある。

渋谷駅からは徒歩15分ほど青山方面へと歩くためか、観光客や買い物客はほとんど見かけない。

オフィスが入居するビルが多いエリア。たまに徒歩圏内にある大学の学生の姿がちらほら。

まさに、地域の人のための喫茶店として存在する「青山壹番館」。

まるで美術館?洗練されたその佇まい

アール・ヌーヴォー調の看板と重厚なレンガ造りの重厚な雰囲気。だがびっくりするほど綺麗で、手入れが行き届いていることを感じる。

このエリアにふさわしい、洗練された印象を受けるのはそのためだろうか。

喫茶店というより、ギャラリーや美術館のような外観に、ドキドキする。

1973年創業。そろそろ50年目を迎えるこのお店は、まさにこの街の人たちに長い間愛されてきている。

スタッフさんによると、「若い女性や観光客の方も、いなくはないですけど、やはりほとんどはこの辺りの方ですかね」とのこと。

「なので、夜は営業していないですし、日曜もお休みです」。

近隣で働いていいる人達がメインのお客さまなのだそう。

整然と並べられたカップや現役のサイフォン。

先端が尖っている印象的なレザー張りの椅子がこの店の雰囲気を大きく形作っている。

スタッフさんの制服、メニューを知らせる看板や、その文字のフォント。

ひとつひとつの要素がまるで美術品のように、この店の正統派喫茶店としての「格」を高めているのだ。

聞くと、「相棒」をはじめ、数々の有名なドラマのロケ地としても利用されているとのこと。それくらい「美しい場所」である。

昭和を感じる細部へのこだわり

もう都心の喫茶店でもなかなか見ない、「回転式メニュー」。ここではもちろん現役・・!

ブルーマウンテン、キリマンジャロ・・。最近流行のコーヒースタンドではお目にかかれない昔ながらの銘柄も並ぶ。

これも、年配の人にも支持される所以なのだろう。いいものは、いいのだ。

看板メニューである「本日のサービスセット」は、これでもかというボリューム。

昔ながらの喫茶店は確かにボリュームがすごい店が多く、ここも例外ではない。

サンドイッチにフルーツだけならまだしも、そこにさらにフルーツゼリーとポテトチップスまで付いてくる。

手作りのゼリーが温かみがあるのは嬉しいポイントだ。

とはいえ肝心のコーヒーの味も確かなクオリティだ。

創業以来、豆のセレクトから焙煎まで、信頼できるパートナーから仕入れているとのこと。昨今の酸味の強いコーヒーではなく、しっかりとした飲みごたえのある味わい深いコーヒーだ。

ひとり客や男性客が多く、おじいさんが新聞を広げてトーストをかじる。

喫茶店でも見ることが減ってきたその風景が、ここにはまだ現役で広がっている。

店内通路を挟んで奥は喫煙席となっており(2019年6月現在)、近隣の愛煙家たちに喜ばれている。

店内のディスプレイやメニュー板、文字のフォントやカップやお皿。

このお店にあるひとつひとつの要素がまるで美術品のよう。

静かに流れるJAZZが心地よく、そこは「昭和レトロの非日常体験」というより、「落ち着く日常空間」なのだ。

 

 

金王神社周辺の凛とした空気に触れ、青山壹番館の「昭和の日常」に触れる。

一人でのんびりしたい時、渋谷でぜひおすすめしたいコースに間違いない。