外出自粛が長く続いて、気分も下がりがち。そんな今観る映画やドラマは後味が大事!と思いませんか? とにかく観終わったら、幸せな気分になれる映画を紹介しよう。自炊のモチベーションを上げてくれるという副産物も。
「とにかくすごく素敵な映画。私は大好きでDVDも持っています。『アイアンマン』シリーズの監督が、主演も脚本も監督もつとめている作品です」(ぴんこ)
今回紹介するのは、監督・製作・脚本・主演すべてジョン・ファヴローの『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』。ちょうどSNSが当たり前になってきた2014年に公開されたロードムービーだ。
「三ツ星レストランで働いていた超有名シェフのカールは、ある日、自分を酷評した辛口料理評論家とTwitter上でモメて炎上して、お店を辞めてしまいます。そこからすったもんだあり、ひょんな事がきっかけで、キューバサンドのフードトラックを始めることになります」
「キューバ文化が根強いアメリカ東南部のフロリダから、西側のロサンゼルスまで、アメリカを横断しながら各地でキューバサンドを販売していく、フードトラックロードムービーなんです」
その道程には、カールの離婚した元妻や息子、かつて助手だったスーシェフ(副料理長)など、さまざまな仲間たちが加わる。
「家族や仲間との絆を深めつつ、最終的にロサンゼルスまで行くんですけど……。まずですね、とにかく出てくる料理すべてがおいしそうなんですよ!」
「今って外にご飯食べに行けないご時世じゃないですか。この映画を観ると、コロナウイルスの騒動が落ち着いた後の外食がものすごく楽しみになります! 高級フレンチのコースから家でさらっと作るパスタ、そしていわゆるB級グルメであるキューバサンドウィッチ。出てくる料理がもれなく全部垂涎モノ!」
劇中には、飯テロな場面がふんだんに出てくる。しかもそのクオリティが恐ろしく高い。
「私はそこだけ何度も観ちゃうくらい特に好きなシーンがあって、それは、カールが自分の家にスカーレット・ヨハンソン演じる元恋人のモリーを招いて、ペペロンチーノを作るシーンです」
ジョン・ファヴローだからこその、豪華共演陣も注目ポイント。『アイアンマン』のロバート・ダウニーJr.など『アヴェンジャーズ』ファン必見の顔ぶれだ。
「スカーレット・ヨハンソンが彼氏のTシャツ借りました~みたいなダボっとした服を着てベッドの上で食べるところもたまらないんですが、ニンニクたっぷりのオリーブオイルがフツフツってなったり、鮮やかにパセリを刻んだり……料理の描写がとにかくすごい!」
同じことを思っている人は多いようで、YouTubeなどでも劇中に出てくるパスタ(通称:スカーレットパスタ)を再現した動画がかなりアップされている。
ペペロンチーノのシーンは絶対に観てほしいところだが、もちろんそれだけの映画ではない。
「この映画は本当に幸せで、出てくるキャラクターが全員いい人なんです! 別れた奥さんや息子や仲間たちもいい人だし、最初にモメてた料理評論家も、なんだ最終的にはいい人じゃん!っていうオチがあって、それがまた最高なんです」
この時期だからこそ、爽やかな気持ちになれることはとても重要だ。安心して観られる。
「落ちぶれた天才シェフの再起、親子の絆、仲間との絆、いろいろなテーマはあるものの、すべてが軽妙なユーモアに満ちあふれていて、本当に後味のいい映画です。観た後は絶対に笑顔になれて、軽やかに心に残る。こんな映画はそうそうありません!」
ちょっと重めのドラマや映画を観た後に、沈んだ気分を回復させるのにも向いているという。
「キューバサンドに合わせてなのか、全体的にラテンミュージックが使われているのもポイントですね。映画全体の空気を軽やかにしている気がします。一回目はちゃんと観て、二回目以降はこの映画を流しながら作業したり仕事したり、という“ながら視聴”もおすすめです」
「物語の中心になるキューバサンドも、イチ押しシーンのペペロンチーノも、どれも実際に誰かのために作ってみたくなります。今だからこそ“自炊心”に火をつけてくれるのも、ありがたいですよね。皆さんも観た後はきっと料理の作り方動画を探すことになるでしょう」
どの角度から観ても、幸せな気持ちにしかならない『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』。視聴の際は、事前にニンニク、オリープオイル、パスタを買っておくことを推奨します。
取材・文:中山秀明
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