ドキュメンタリー映画『マルジェラが語る“マルタン・マルジェラ”』が、9月17日(金)より渋谷ホワイトシネクイントほか全国順次公開される。「ファッション界のバンクシー」ともされる、謎多きデザイナー・マルジェラ。常に革新的だった彼の思考の一端が明かされたとき、プロとして仕事を全うすること、本質を見極め創造し続けることの難しさと面白さを再確認するだろう。
1988年に創業され、大胆な発想でこれまで多くのデザインを発表、今なお支持を集めるファッションブランド・Martin Margiela(マルタン マルジェラ)。その前身「メゾン マルタン マルジェラ」の創業者・デザイナーであるマルタン・マルジェラは、1989年春夏から2009年春夏まで在籍。常に時代の美的価値に挑戦し、服の概念を解体し続けた。彼はファッション界に多大な影響を与える存在でありながら、キャリアを通して一切公の場に姿を現さず、匿名性を貫いたミステリアスな人物として知られている。
しかし本映画『マルジェラが語る“マルタン・マルジェラ”』で、ついにその重い沈黙が破られる。「このドキュメンタリーのためだけ」「顔は写さない」という条件のもと、初めて映画の制作に協力。マルジェラ本人の言葉でキャリアやアクティビティを語るという異例のドキュメンタリー作品が誕生したのだ。
映画の中では、初めて公表するドローイングや膨大なメモ、7歳で作ったというバービー人形の服などプライベートな記録が登場。ドレスメーカーだった祖母からの影響、JEAN PAUL GAULTIER(ジャンポール・ゴルチエ)のアシスタント時代、ヒット作となった足袋ブーツの誕生、世界的ハイブランドであるHERMÈS(エルメス)のデザイナーへの抜擢就任、そして51歳にして突然の引退――そのすべてをカメラの前でマルジェラ自身の声で明かしている。
解禁された場面写真には、初期マルジェラの代表作の⼀つであるコルクネックレス、マルジェラの代名詞とも⾔える四隅の⽩いステッチなどがうつっており、劇中に貴重な資料が多数登場することを伺わせる。
革新的、繊細で優しく、かつ大胆不敵、本質を見極め、決して妥協しない。そんなマルジェラの創造性と仕事術の全貌を見届けたら、自分自身が対峙する“今”にもっと真剣に向き合いたくなるだろう。
『マルジェラが語る“マルタン・マルジェラ”』
公開日:2021年9月17日(金)
URL:https://www.uplink.co.jp/margiela/
メイン画像:2009年春夏コレクション
RECOMMENDER:
白石 亜希子
Harumari TOKYO編集部