手土産やちょっとしたギフトを選ぶのが大変上手な玄人がいるように、もらう方にも玄人がいると思う。職業柄や立場上、あらゆる人から手土産を頂く機会が多い人だ。 “いただき”慣れている、そんな人にこそ印象に残るような粋な贈り物をしたい…展示会や舞台、オープニングやポップアップ……。 手土産大合戦が幕を落とすその時、迷わず前線で闘えるのはこれだ。
文:岡野ぴんこ
いただき玄人の元には同じタイミングで多くの消え物が集まる。
東京中の、いや、なんなら全国のオシャレの粋を集めたようなイケてる消え物が集結するのだ。
そんな時、最近SNSでよく見かける人気のフィナンシェ……ではちょっと戦闘力が弱い。
なんせ同じフィナンシェでも「並んでも買えない予約半年待ちの奇跡のフィナンシェ」を悠々と持参するプロがいるのだから…!勝てない…。
ではどうするのか。視点を変えるのです。
甘いものではなくしょっぱいもの。
洋ではなく和。
オシャレではなく粋。
そこで出てくるのが、タコ壺。そう、タコ壺入りの…おでん!
浅草の100年以上続く老舗おでん料理店「大多福」の壺入りおでんである。
まず「大きい、多い、福」という店名、どう転んでも縁起が良いのは間違いない。
元々は浅草の芸妓を訪れる旦那衆からのリクエストで出来たというこの壺入りのおでんテイクアウト。その成り立ちがもう、粋そのものではないか。
中には関西風の出汁がしみしみのおでん約15種が詰められており、宝箱のように次から次へと出てくるのも楽しい。
味は言うまでもなく絶品。店内は国内外問わず大人気なので予約が必須だが、このテイクアウトは営業時間内に訪れればすぐに対応してくれる事がほとんど。それも嬉しいポイントの一つ。
中には小皿に入った、からしも入っていてすぐにでも楽しめる。
ちなみに壺の保温性が高いので2時間くらいはそのままでも温かく保たれる。
壺そのものもとても素敵で益子焼なのだ。「大多福」の文字とおたふくの絵が刻まれている。
芸妓たちはそのまま花瓶にして使っていた、という逸話もあって壺の自分なりの活用法を考えるのもワクワクする。
どうしても…印象に残りたいのです、玄人に「お!やるな」と思われたいのです…!
相手が喜ぶことを考えつつも、自分のギフト偏愛を満たす、まさにそんな手土産最前線に自信を持って押し出せる粋で美味しい、宝の詰まった壺。
ぜひ次の手土産候補にどうぞ。
浅草おでん大多福
東京都台東区千束1-6-2 NS言問ビル1階
https://otafuku.ne.jp/about