動画を観ながら寝落ち。ときに心地よく、ときに重要シーンを見逃した後悔があり……。配信サービスを使いこなす人にとっては日常茶飯事だろう。ぴんこ氏によると、どうやら“寝落ち”するにも、オススメの動画とそうでないものがあるようだ。
Huluで配信中の「潜入!スパイカメラ」シリーズは、イギリスの国営放送BBCが長い制作期間と莫大な予算を投じて作った、野生生物の生態をありのままにレポートするネイチャー・ドキュメンタリーだ。
「制作しているのは、日本でいうところのNHKみたいな位置づけのBBC。とにかく『スパイカメラ』のクオリティに度肝を抜かれる! これまでに見たことないような視点からの映像が面白くってハマっちゃう!」(ぴんこ)
「この、ものすごくお金と時間をかけて作った映像を横目に、私は寝落ち・・・この贅沢さがなんとも充実した気分になれる・・・のは私だけじゃないはず・・・! 寝起きもなんとも素敵な気持ちになれます」
たしかに、ちょっと不純(?)なマウンティングな気もするが、入眠安定剤がわりにするにはリッチな映像である。
「TVで観るならできるだけ大きい画面がオススメ! これまでにも自然の神秘を題材にしたネイチャー・ドキュメンタリーはあったけど、これはアングルや迫力が桁違い。コメントの映像クオリティを実現してるのがタイトルにもなってる『スパイカメラ』なんです!」
たとえばペンギンをテーマにした回では、最先端のテクノロジーでペンギンの姿かたちそのままの「ペンギンカメラ」を製作。それをコントローラーで操作して群れの中に紛れ込ませる。ペンギンは警戒心なく近づいてくるし、オットセイが捕食しようとする場面なども、ペンギン視点の映像で観ることができる。
トラの回では、警戒心が強いトラを撮影するため、同じエリアに生息するといわれている象の牙の先にカメラを仕込んでみたり。カメラマンが象って、たしかに斬新……。
「そして、野生の世界は想像以上にドラマティック! 泣けることもあるし、弱肉強食の現実になんだか背筋が伸びるような気持ちになることもありますね」
流氷のなかで、群れからはぐれて1匹だけになってしまったペンギン。ふだんは集団行動をしている彼らだが、こういうときは置き去りにされてしまうのが野生の常。トボトボと氷のうえを歩く姿はなんとも悲しい。寝落ちをしないでちゃんと観ても、自然のリアルな厳しさを知れたりと、また違った楽しみ方がある。
寝落ちを誘うヒーリングなネイチャー音がやさしい
「もうひとつ寝落ちにオススメな理由があって、それは“音”。基本は視覚に訴えかけるコンテンツなんですが、是非耳心地がいいということを知ってほしい! だんだん眠くなってきたら目を閉じて音だけに集注するのもオススメの楽しみ方です」
基本的には自然そのままなので、森の音、海の音、風の音や鳥の声、そういったヒーリング的な音をBGMに映像は進行していく。これは深夜に観たらヤバいかもしれない。
「忘れてはいけないのが、ナレーションの素敵さ! ホグワーツ魔法魔術学校みたいなおじいちゃんが、なんとも眠りを誘う語りをしてくるんです・・・なんだか壮大な物語の中に入ったような不思議な気持ちになって、だんだん眠〜くなってきます・・・」
たしかに、ハリー・ポッターの校長先生みたいなトーンで淡々とキレイなイギリス英語を話されると、自然のヒーリング音の相乗効果でさらにヤバいかもしれない。
「でも、もし寝ちゃったとしても大丈夫。ドラマや映画だったら、巻き戻して、どこまで観たっけ?ってやらなきゃいけないけど、そういうのを気にしなくていいから気楽でまた好きなところから次の夜に見られるんです」
癒される子守歌を静かに聴きながら、目や脳にも刺激の少ない自然の姿を観るではなく眺める。そしてその映像にはものすごくお金がかかっている。それはきっと、最高にプライスレスな入眠体験なのだろう(毎月の視聴料はかかってるけど)。
こんな贅沢な寝落ちをしたら、次の朝はとても心地よく起きられそうだ。仕事やらお出かけやらで忙しいけど、次の日を快適に過ごしたい。そんな夜にいかが?
取材・文:中山秀明
コンテンツセレクト:岡野ぴんこ
【潜入!スパイカメラ シリーズ】
ネイチャー・ドキュメンタリー番組の第一人者ジョン・ダウナーが、最新の撮影技術“スパイカメラ”で、さまざまな野生生物の生態を追う。毎回用意される特殊カメラによって、撮影不可能とされてきた未知なる自然の世界が明らかになる!