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東京・夜こそ行きたいカフェ事情

飲みに行った帰りや時間つぶしでなく、敢えて、夜こそ、「カフェに行く」予定を入れたい。そんな魅力的なお店が東京に増殖中。さぁ、夜カフェしに、わざわざ、出かけましょう。

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深夜、本物の一杯を求めて。名店「Unir」のコーヒーを贅沢に味わう

Unir(ウニール) 赤坂店

チェーン店に本格派コーヒースタンド、早朝から午後の一杯まで手軽にコーヒーが飲める店が増えた。だが夜はそうはいかない。”朝型”が多いため夕方には閉店済み。それならいっそ贅沢に、本物のコーヒーを求めてホテルの夜カフェに行こう。

依然、コーヒーブームが続いている。というより、生活の一部になったと言っても過言ではない。カフェチェーンでもファストフードショップでもコンビニでも、多少の差はあれど「そこそこおいしい」コーヒーを飲むのに困ることはまずないくらい、コーヒーは実に手軽なものになった。

だが夜になると、その選択肢が少なくなっていく。 “朝型”が多い一般的なコーヒーショップは、たいてい営業を終了している。一日の最後こそ“手軽に”ではなく、おいしいコーヒーをゆっくり飲みたいのに。そんなニーズに応えてくれるのが、贅沢な空間と本物のコーヒーを味わえる「Unir(ウニール)」だ。

たどり着いたのは、赤坂駅出口を出て裏手側のビジネスホテル「インソムニア 赤坂」。その1階で24時間明かりを灯し続けるカフェがある。「Unir 赤坂店」、京都に本店を持つスペシャルティコーヒーロースター「Unir」の東京唯一の店舗だ。

Unirは、コーヒー好きには言わずと知れた名店。「スペシャルティコーヒー」とは、コーヒーの木を育てる農園や生産者が明確で、丁寧に管理された豆とそれから抽出したコーヒーの味わいによって、品質が評価されるコーヒーのこと。Unirではほとんどの豆を生産国で直接買付け、最先端の焙煎機を使い、選び抜いた豆本来のおいしさを最大限引き出すよう自家焙煎する。豆自体はもちろん、確かな技術で淹れられるコーヒーに多くの人が魅了されてきた。この店にも昼夜問わず、都内近郊から”Unirのコーヒー”を求めて客がやってくる。

その本物の味を、24時間楽しませてくれるのだから、なんと贅沢なのだろう。入り口から奥まで一直線に突き抜けた広々としたフロア。コンクリートがむき出しのやや無機質な床に、赤いチェアーが鮮やかに映える。ここはカフェであり、「インソムニア 赤坂」のラウンジでもある。パリッとしたシャツとベストを着こなしたバリスタは、ホテルのウエイターを彷彿とさせ、事実その役割も担うのだ。

バリスタも24時間レベルが高い。ホテルのラウンジという場所でありながら、決して“ホテル併設のカフェ”ではなく、ここは「Unir」。Unirオーナーの山本尚氏から厳しいトレーニングと講座を受け、試験に合格した者だけがバリスタとして立つことが許される。コーヒーの実の成り立ち、焙煎豆に製造される工程、Unirの信念、細かな技術に至るまですべてを一から叩き込まるのだ。

豆を買い求めるコーヒー好きの客の相談にも、数多く揃えるドリンクメニューの相談にも的確に応えてくれる。

オープン当初からバリスタを務める佐々木さんの一押しは「カプチーノ(430円 税込)」だ。いくつかあるミルク入りのエスプレッソドリンクの中でも、コーヒーとのバランスがいいのだそう。エスプレッソに使う豆はミルクとのバランスを考え選ぶ。例えばこの日は「ホンジュラス エルサウセ マーチ」だったが、それも定期的に変わり、豆による味わいの違いを楽しむことができる。

他にも、トニックウォーターを加えた「エスプレッソトニック」や、砂糖と氷を加えてシェイクする「シェケラート」など、普段あまり出会えないコーヒーの楽しみ方がフルスペックで用意されているのもUnirならでは。小腹が空いたら京都の人気ブーランジュリ「ル・プチメック」のクロワッサンをお供にするのもいいだろう。

 

22:00〜翌7:00の間、エスプレッソメニューは姿を消し、フレンチプレスコーヒーを味わうための時間になる。挽いた豆に直接湯を注ぎ、紅茶のように抽出するフレンチプレスは、紙や布のフィルターを通さないため、コーヒーの油分まで余すことなく抽出できる。Unir自慢のスペシャルティコーヒー豆の本来のおいしさを、ダイレクトに楽しめる飲み方だ。

豆の種類と品質別に「ハイクオリティ(レギュラーサイズ/ 500円 税込)」から「トップオブトップ(レギュラーサイズ/ 800円 税込)」まで取揃えている。「価格・品質が高い=好み、気分に合う」とは限らない。ここはやはり、頼れるバリスタに相談してみよう。

 

一杯のコーヒーを手に、思い思いに自分の時間を過ごす人々。朝や昼に手軽にコーヒーが飲めるようになったが、深夜はまだまだコーヒー難民になりがち。

Unirはそんな私たちを、24時間扉を開けて待ってくれている。

 

取材・文:RIN

撮影:きくちよしみ