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東京30min.アート

西洋美術から先端アート、そして街中の壁画まで。東京のあらゆるアートを’30分で’気軽に楽しむためのコツを、ナビゲーターが伝授。今まで知らなかった、アートの新たな魅力に出会う、30分の旅。

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“おフェロおしゃれ”な絵が今の気分にど真ん中! これがクリムトだ・・・!

クリムト展 ウィーンと日本 1900

19世紀末ウィーンを代表する画家グスタフ・クリムト(1862-1918)の日本では過去最大級の展覧会が東京都美術館にて4月23日から7月10日まで絶賛開催中だ。

装飾的で華やかな中に茶目っ気たっぷりに“毒”が散りばめられた作品はまさに今こそ観たいものばかり。

「クリムト?誰?」というハルマリ読者でもクリムト大好きになってしまう注目ポイントを、3つにまとめて紹介しよう。

1:部屋に飾りたい繊細さ、大胆さと、色使いのおしゃれさ

クリムトの絵画はどれも、その色使いやテキスタイルのような模様、描かれている対象物すべてが・・・・誤解を恐れず言えば「・・・なんておしゃれなの!!!!」である。感想としては実に稚拙だが素直に・・・いや衝撃的にそう、思った。

というのも、そのまま空間を彩ったらどんなに素敵だろうという装飾性の妙があるのだ。つまり、そのまま部屋に飾りたい!のである。意外と、美術館に行って作品を観てこれを飾りたい、とは思わない。

そういう意味で現代においてもとても斬新で新鮮、かつ今のおしゃれ気分にピタリとはまるのだ。それもそのはず、クリムトは装飾物としての絵画を常に意識して作品を作っていたそう。

朝日新聞社提供

この展示では時代と共に変化していく彼自身の絵の様式を存分に楽しめる。
そしてもちろん、クリムトと言えばこれ!という超有名な作品たちもじっくり堪能できる。

金箔が使われた豪華で華奢な背景、ジャポニズムの影響を受けたとも言われる文様やその組み合わせ。そして描かれている女性たちのファッションやアクセサリーにも注目。
今の時代の感覚でもとてもおしゃれで思わず見入ってしまうようなものばかり。

グスタフ・クリムト《女の三世代》 1905年 油彩、カンヴァス 171×171cm ローマ国立近代美術館 Roma, Galleria Nazionale d’Arte Moderna e Contemporanea. Su concessione del Ministero per i Beni e le Attività Culturali

2:ミューズは強く凛々しく生きる“おフェロ”な女たち

「絵の対象としては自分自身に興味がない。 むしろ他人、特に女性、そして他の色々な現象に興味があるのだ」と発言していたクリムトは数多くの様々な姿の女性像を手がけた。そこにいるのは独自の感性で強く生き抜く表情豊かな女たち。

中でも注目したいのは、「ユディトI」。油彩画に初めて本物の金箔を用いた作品とされ額縁もクリムト自身のデザイン。
きらめく薄布に身を包み恍惚な表情の女性の手には男の生首・・・生首・・・!?
衝撃的な作品の題材は、旧約聖書外典の「ユディト記」にある未亡人ユディト。守るものがある時、自分の正義を守る時何にも屈さず手段を選ばぬ女性を描いたものなのだ。
強さや凛々しさが女性特有の官能美を醸し出している、そんな作品だ。

グスタフ・クリムト《ユディトⅠ》
1901年 油彩、カンヴァス 84×42cm
ベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館 , Photo: Johannes Stoll

また、幾度かクリムトの作品の中で描かれているエミーリエ・フレーゲ。クリムトと彼女は長く親交を持ち一時期は恋仲だったのではとも言われている。
エミーリエもまたファッションデザイナーとして自立する強く美しい女性であった。

女性ならではの強さがフェロモンとなって周りを魅了する・・・まさに“おフェロ”な女たちである。今でこそフェミニズムなどが話題になる時代だがそんな今だからこそ改めてそこにある女性の真の強さをクリムト作品から感じたい。

3:稲垣吾郎さんのオーディオガイドは絶対マスト!なぜなら・・・

今回の展示のオーディオガイドのゲストナレーターは稲垣吾郎さん。

稲垣さんがめくるめくクリムト作品の世界を案内してくれる。彼のファンでなくてもこの展示では絶対にオーディオガイドを使って欲しい・・・と思う理由がある。それが、今回の展示の目玉でもある「ベートーヴェン・フリーズ」の原寸大複製。全長34mを超える壁画でクリムトが40歳の時に手がけた大作。幸福を求めて戦う黄金の騎士の物語が、左から右へ絵巻物のように展開するのだ。

グスタフ・クリムト《ベートーヴェン・フリーズ》
1984年(原寸大複製/オリジナルは1901-02年) 216×3438㎝
ベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館 
朝日新聞社提供

ベートーヴェンの交響曲第9番に着想を得たこの作品、オーディオガイドを聞いていると、まさに今ここ!というタイミングで荘厳な交響曲第9番が流れてくる。目と耳をフル稼動して作品の世界を“体感”することが出来るのだ。この感動は是非その目でその耳で感じて欲しい。
ぐるりと壁画に囲まれる迫力はなんとも言い難い新感覚の体験。

19世紀末のウィーンでクリムトが迸らせた感性が100年後の私たちにこんなにもセンセーショナルに響くとは・・・!かわいい、おしゃれ、美しいだけのものにはちょっと疲弊気味のここ最近。それだけではないリアリティと毒っ気があるものこそ今心に取り込みたいものなのではないだろうか。

今こそ、是非体感し、たっぷり吸い込んで欲しい。

取材・文:岡野ぴんこ

※2019年5月14日に一部内容を更新いたしました。