千駄ヶ谷の静かな裏通りにある、10年近く地元の人々に活気を与えてきた小さなコーヒースタンド。小ささとは裏腹に、とにかく暖かい会話と空気が生まれるこのお店の魅力を、常連客であるVaughanに聞いた。
-BE A GOOD NEIGHBOR COFFEE KIOSK。(以下、COFFEE KIOSK)このお店はどんなお店なんでしょうか?
「たくさんのご近所さんが毎日ここのコーヒーを飲むために毎日スケジュールを割いているよ。実際、東京にあるコーヒースタンドの中でも、ここよりも多くのコーヒーを提供している場所を僕は知らないと思う。それくらいひっきりなしに人が来るんだ。大体みんなテイクアウトしていくんだけど、多くの人は一旦コーヒーをお店の中のカウンターか外のベンチのあたりで一口二口は飲んでいくね。時々、通りに広がっている人たちがいて、なんだかある種の展示会のオープニングのような光景なんだけど、実はコーヒーを飲んでいるだけなんだ。外から見ると、『あそこなんだろう?』って思うかもね」
–ここにはどんな時に来て、どんな風に過ごすのですか?場所はあまりなさそうだけど……。
「僕は近所に住んでるんだけど、ここは早朝8時30分から営業しているので、学校に息子を送った後、よく来ているよ。週に2回開催されるBAR Timeに来ることもあるね。コーヒー(またはバーの時間にクラフトビールやビオワイン!)を注文して、いつも店内か外のベンチで知り合いとお喋りして、知らないお客さんともお喋りして……いつも笑顔でいるね(僕はみんなと話したいんだ!)」
-Vaughan、いつも誰かとお喋りしているけど、どうやって知らない人と話し始めるの?話しかけるんですか?
「うなずいて笑って『こんにちわ』と言うか、『おいしいね』と言うかな。あるいは、『ここはいいカフェですよね。ここによく来るの?』とか。そこにいる人々が一体どういう人で、何をしているかに僕は興味があるんだよね。確かに私たちの世代はプライバシーだとか色々問題があることは理解しているし、おそらく一般的には隣人をまったく知らない方が安全と思われているかもしれない。でも僕は、同じコーヒーを美味しいって思っている人のことをもっと知りたいよ」
–なるほど。COFFEE KIOSKは非常に小さいお店ですよね。会話を開始するのには逆にいいのかもしれませんね!
「そうなんだ!誰かとすれ違うにはまず『すみませ〜ん』って言わなくちゃいけないよね(笑)。だから会話はそうやって自然に始まるかな。あとこのお店にあるすべてのチラシに目を通すのが好きなんだ」
「CURATOR’S CUBEとPlaymountain(ここと同じく有限会社ランドスケーププロダクツが運営)
だったり、日本中のおもしろい場所の情報がコンパクトにまとまっているんだ。これらは常に僕にとって素晴らしいインスピレーションの源。チラシを見ているとスタッフの人が色んなことを教えてくれたり、居合わせた詳しい人が教えてくれたりするよ。そうやって、会話が広がっていくんだ」
–ここはメインストリートではない裏路地ですよね。主に地元の人がコーヒーを飲みに来るんでしょうか?
「確かにこのエリアで働く人や住んでいる常連さんが多いみたい。たまに観光客が来て、話が盛り上がることもあるんだよ。ある日、モノクルの東京ガイドブックを読みながらやって来た観光客がいて、彼は千駄ヶ谷散策をしていたんだ。あのガイドブックを持っている人はみんな、おそらく日本について何かを発見したか、僕らが知らない日本について何かを知っているみたい」
–確かに。掲載されているお店やスポットなど、独特のセンスが光るガイドブックですよね。
「千駄ヶ谷は面白い店や場所が多い。住んでいてもまだまだ知らないことが多いよ!僕はいつも町の新しい場所、または“僕にとっては新しい”古い場所について学びたいと思っているんだ。だから、常連客が多い場所に、そういう新しい情報を持った人が現れたりするのって本当に面白いと思うよ。地元の人が『あそこは行った?』とか『ここはこうやって行くのが近いよ』とか教えてあげたりして、また面白い会話が生まれていくのがこのお店の面白いところだと思う」
–ここでは必ずコーヒーをオーダーしますか?
「コーヒー。または、エスプレッソベースの飲み物かな。どれもとてもクオリティの商品なんだ!ある朝お喋りしたお客さんが、『COFFEE KIOSKのエスプレッソは、私が初めて飲めたエスプレッソ』と言っていたよ。チャイやアイスクリーム、おいしいどら焼きなんかも販売しているけれど、ここのコーヒーはやっぱり特別。バリスタは到着してすぐにショットを取り、ダイヤルインしている。店が閉まった後、エスプレッソマシンをきれいにするのを見たんだけど、とても丁寧だなあと思った。きれいなマシンは美味しいコーヒーに不可欠。コーヒーがあまり美味しくないお店は、やっぱりこれが原因だなぁと思うことが多いよ。」
–彼らは自分たちでコーヒーを焙煎するんですか?
「これまでCOFFEE KIOSKはさまざまなロースターを使用してきたんだ。僕にとっては色んなロースターの豆を100gを購入して試したり、時には別の県のロースターを見つけるのに最適な場所だった。でも速報ニュース! COFFEE KIOSKは2019年、年内にロースター/カフェをオープンするようだよ。6kgのギーセンロースターがあって、場所は千駄ヶ谷五丁目エリアだって。東京の最高のバリスタ/ロースターの一人である齋藤 淳さん(元ポールバセット、Nui、4/4 seasons coffee)が担当するのも楽しみなポイント。東京のコーヒーラバーの多くは、彼が現場に戻ってくるのを待っています!」
–「BE A GOOD NEIGHBOR」という名前。「こうありたい」みたいな想いを感じる店名ですよね。
「この店名の意味は何年もかけて僕の中で大きく成長している。お店に行くたびに、そして外のベンチに座って、書いてあるこの言葉を見るたびに、良き隣人であるということについて考えさせてくれるんだ。時々『僕の友達は大丈夫かな』『もっとあの人との時間を作った方がいいのかな』『この間あの人元気なかったけど大丈夫かな?』とか、そんなことを改めて思い出させてくれる」
–ストレートなメッセージですもんね。
しかも、新しい会話がたくさん生まれるこの場所でね。うん、だからこのお店の名前、大好きだなぁ。お店のスタッフと名前について話したことは一度もないし…彼らがなぜこの名前を選んだのか正確にはわからない。でも、本当に好きです。この名前は、いつも私の頭の中で良い考えを巡らせるためのいいきっかけとなってるんだ。だから、日常の中に絶対に必要な存在でこれからもあり続けるね。家の近所にそういう場所があるって本当に素晴らしいことだと思う」
–店の前にポストがあるっていうこの立地も人々が行き交う理由として重要な意味がありそうですね。企業の人たちが郵便物を持ってポストに来て帰りにコーヒーを買って帰る姿は、コーヒースタンドとしてとても美しい気がします。日常に溶け込んでいるというか。
「 そう、その通り!家族連れも、働いている人も、スタッフも、子供も、観光客もみんなこの場所で“GOOD NEIGHBOR”になれるといいよね」
Profile
Vaughan(ヴォーン)
オーストラリア・メルボルン出身。東京に住んで10年以上。日本のコーヒーカルチャーを世界に発信するインフルエンサー。モデル、音楽プロモーター、イベント企画、キュレーターなど100の顔を持つ東京セレブリティ。
www.vaughan.tokyo
instagram @vja
撮影:濱田晋
意訳:稲垣美緒(Harumari TOKYO編集部)
撮影協力:BE A GOOD NEIGHBOR COFFEE KIOSK /ランドスケーププロダクツ
エリア: | 東京 / その他 |
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住所: | 〒151-0051 東京都渋谷区千駄ケ谷3丁目51−6 |
営業時間: |
月曜日 8:30〜18:00 火曜日 8:30〜18:00 水曜日 8:30〜18:00 木曜日 8:30〜18:00 金曜日 8:30〜18:00 土曜日 11:30〜17:00 日曜日 11:30〜17:00 祝日 11:30〜17:00 |
公式WEB: | https://beagoodneighbor.net |
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