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HOME SPECIAL Second Town Journey in ONOMICHI(尾道) 特別座談会|尾道エリアで働く、学ぶ、暮らすということ
特別座談会|尾道エリアで働く、学ぶ、暮らすということ

VOL.9 特別座談会|尾道エリアで働く、学ぶ、暮らすということ

広島県尾道市と生口島の瀬戸田で暮らす人々は、なぜこの場所を暮らしの拠点に選び、どういうつながりのなかで、どんなことを感じながら生活しているのか。小誌編集長である島崎昭光を進行役に、5人の尾道&瀬戸田在住者たちを招集し座談会を開催した。

座談会参加者プロフール
(画像左手前から時計まわりに)

松崎敦史
ウェブマーケティング会社「世界新聞」代表。2021年から尾道へ移住。

菅秀和
レモン農園「たてみち屋」園主。2013年より瀬戸田に就農移住。

島崎昭光
Harumari TOKYO編集長。東京在住

高野哲成
尾道自由大学事務局、みらいの子供舎運営部、KTRUCK LLP代表。2015年より尾道へ移住。

小林亮大
しおまちブラザーズの“弟”としてSOIL SETODAの開業に携わる。2020年より生口島瀬戸田と東京の2拠点生活。

長光祥子
森から暮らしをつくるをテーマに活動している、Feast forest project 生口島ごちそうの森 代表。大阪から生口島瀬戸田にIターンして11年。

四季に合わせて変化する街の彩りが、
毎日を生きる活力になる

島崎(Harumari TOKYO編集長):

まず、環境の話をお聞きしたいのですが、皆さんがここで暮らしていて心地よいと感じるものってなんなんですかね?

松崎:

僕は、世界一周をして50カ国をまわっていろいろな街を見てきたのですが、なかでも海の見える街が好きでして。尾道はその点で、海があるうえ、日差しがすごく強いんですよ。サングラスがないとしんどいんですが、その太陽のパワーを常に感じることができるのがいいんですよ。外に出るだけでパワーを注入できるのが豊かだなと思います。

長光:

確かに。農家が元気なのはやっぱりそこに理由があるのかな。あと、尾道と生口島瀬戸田の違いといえば、瀬戸田は季節に色があるところがいいなと思います。やっぱりそれは山に柑橘が多いことがポイントなんですけどね。通常、冬のイメージは葉が落ちて木が丸裸になるイメージじゃないですか。でもここの冬は、柑橘が色づき出して農家さんたちが忙しくトラックで色を運んでいく光景が見られるんです。春は山桜が咲くし、夏は日差しや緑、秋は紅葉があって、季節に合わせて景色が変わるのが素敵ですね。

高野:

しかもそれが近い距離にあるわけですからね。

長光:

そうなんです。そこが、瀬戸田の美しさとかおいしい農作物につながっていると思うので。だから田舎でもいろいろ見るものやすることがあるので飽きないですね。

尾道&瀬戸田の人づきあいは?
いい意味で放任主義な環境が心地よい

島崎:

今回、尾道エリアに編集部で長期滞在し取材をしていると、「人がいい」という話がよく出てきます。個人的に理由がすごく気になるのですが、皆さんはなぜこの街に魅力的な人が集まってくるとお考えですか。

高野:

確かに。本当にいろんなコミュニティが多いですよね。音楽が好きな人やアートが好きな人、旅人も多いし、移住者もいたりしているので、単純に日常で人と触れ合う機会が多いからそう見えるんだと思います。

菅:

あとは、癖がある人だったり目立つ人が多いんじゃないですかね。自分で言うなよって感じですが(笑)。

長光:

私は11年前に大阪から瀬戸田へ来て、自分を移住者の走りだと思っているのですが(笑)。港町ということもあって、外の文化を受け入れる文化の基礎ができている気がします。たとえば、旅人に普通に声をかけたりとかもよくある光景ですし。いい意味で浅く広くみたいな、心地よい距離を作れる人が多いですね。

松崎:

あとは、いい意味でみんな人のことに無関心なんですよね。誰かが始めた新しいことに対して、もちろん狭い地域なので噂は聞くのですが、そこを批判する人は少ない。無関心が心地よさでもあり、温かく見守られている感じもある。だからよその土地と比べると、チャレンジしやすい風土だなと感じています。

島崎:

あと東京の僕らから見て感じるのは、こういう場もそうですけど、他業種同士の交流が盛んで、お互いが刺激しあっているようにも思えます。東京だとあまりない光景なので。

長光:

そうですね。通常、田舎は農家しかいなかったりとか、職業や産業がもう少し偏っていたりするんですよ。だけどこのエリアはちょっと特殊で、造船があり農業があり、一般職もあり、ここにいる人たちのようなクリエイティブな仕事など、さまざまな職業の人が集まっています。だからいろいろなコミュニティがあるし、自分が所属できるところを見つけやすいのかもしれません。

仕事9割でもストレスなく働けるのは、
一歩外に出れば余暇が広がっているから

島崎:

皆さんは、仕事とプライベートはどのようなバランスなんでしょうか。

菅:

9対1で、9が仕事。というか、仕事とプライベートの境があまりないんですよね。ちなみに、1は自分のことというより家族の時間です。

高野:

僕は7対3ですかね。尾道エリアは僕らのように個人事業主が多いイメージです。だから、仕事をお願いするときも、どこかの会社に頼むのではなく、たとえば“レモンの菅さん”や“WEBマーケティングの松崎さん”など、自分の頭にリストアップされた人たちに直接お仕事を依頼するんですよ。だからずっと仕事だし、プライベートでもある。オンオフが、よい感じに混ざっています。

島崎:

都市部で働いている人たちのほとんどが、プライベートには非日常を求めているんですよ。たとえば、「東京に住んでいる人が釣りに行く」というと、ちょっとしたイベント事じゃないですか。

小林:

休みのために生きているみたいなところはありますよね。

菅:

都市に住んでいる人が余暇で行きたくなるような環境が、僕らは日常や仕事の中にあるんですよね。仕事の移動の時に「ああ、今日は天気がいいな」と感じたりすることが、日常の節々にあるんですよ。あまり詰め込むような仕事をしていないから、9対1で仕事をしていてもストレスにはならないんじゃないですかね。

島崎:

都市だとその気分転換をどうしても非日常に求めがちですよね。もしくは、お金を払ってストレスを発散するただの消費とか。

菅:

だからサウナが流行ったのかなと思っています。ずっと緊張し続けているから緩むことを求めている。それがいわゆる、“ととのう”ということだと思うし潜在的に求めていた人が多かったんじゃないかなと感じます。よいアイディアは、緩んだ瞬間に生まれるものだと思うので。

尾道エリアをセカンドタウンにするには?

島崎:

尾道エリアをセカンドタウンにしたいと思うようになるには、どんなことが決め手になると思いますか。

菅:

居場所だと思います。居酒屋でもバーでも畑を手伝いに行くでも、「よく来たね」と言ってくれる場所ができたら居場所になるし。それがホテル事業者である小林くんみたいに仕事であってもいいですし。居場所が尾道を訪れる目的になると思います。

高野:

尾道エリアはコンパクトで人に出会いやすいのが魅力です。そして僕らのようにつなげたがるお節介な人も多い。自分が興味のあることさえしっかり持っていれば、自然と居場所が見つかる気がします。ぜひ、そういう場所を見つけに何回も足を運んで欲しいですね。

おわりに――
彼らを見て思ったのは、それぞれがしっかり個として認識されながらつながっていること。それができているのは各々がしっかり自立しているからであり、自分のやりたいことや幸せを考えて始めた行動が、新しい
コミュニティを生み出している。そしてその軸をしっかり見つけられさえすれば、この街はしっかり受け入れてくれることだろう。セカンドタウンを探すことは、自分の生き方を見つめ直すことがスタートだ。

取材協力:Soil Setoda
撮影:もろんのん
取材・文:羽賀まり奈(Harumari TOKYO編集部)