行きつけのカフェやバーがあるように、行きつけの映画館があるって素敵だと思いませんか。今回は〈私の映画館〉にしたくなるような名画座・飯田橋ギンレイホールをご紹介します。名画座とは、一般的に旧作を上映する映画館のことを言いますが、ギンレイホールはロードショーが終わった映画を2本立てで上映するスタイル。今日は映画を観る日!と決めて映画館で映画を2本観る一日って、すごく贅沢です。
ギンレイホールの最寄りの駅は飯田橋。JR東口改札からは徒歩4〜5分、地下鉄ならB4b出口を出て目の前です。レトロな建物のレンガ風の外壁には「銀鈴会館」とも記されていて、1960年にこの建物が竣工し映画館ギンレイホールが開館、1974年に現在の名画座ギンレイホールとなり、今年で 46周年を迎えます。
映画館の入口で目に入ってくるのは、手書きの看板! 現在上映中の作品、これから上映される作品のタイトルが書かれています。上映作品が決定すると看板職人さんに依頼して書いてもらうそうです。なんとフリーハンド!
1枚の看板に2つのタイトルが書かれているように、ギンレイホールの特徴は2本立て。1枚のチケット(1500円/一般)で2本の映画を鑑賞できる、これってかなりお得です!
2本立てを詳しく説明すると、3月の上映作品は「ガーンジー島の読書会の秘密」と「ホテル・ムンバイ」の2本。上映時間はすでに決まっていて──
3/7(土)~3/13(金)の1週間は、
「ガーンジー島の読書会の秘密」10:00〜/14:50〜/19:30〜
「ホテル・ムンバイ」12:25〜/17:10〜
(※3/14~は上映時間が入れ替わります)
組み合わせの一例として、朝から観たい場合は
10:00「ガーンジー島の読書会の秘密」→12:25「ホテル・ムンバイ」
夕方から観たい場合は
17:10「ホテル・ムンバイ」→19:30「ガーンジー島の読書会の秘密」
どちらを先に観てもOK、もちろん1本だけの鑑賞もOKですが、料金は1500円のままなので、どうせなら2本観たいですよね。
現在日本では、年間1200本近くの映画が公開されていて、どの映画を観たらいいのか分からない、どの映画が面白いのか分からない……という声もよく聞ききます。であれば、ギンレイホールのような名画座に通ってみるのもひとつなんじゃないかなと。
2週間ごとに作品が入れ替わるので、ギンレイホールを〈私の映画館〉にしたとしたら、年間約50本の映画を観ることができるわけです。
しかも2本立ての組み合わせ方にも工夫があって、邦画洋画問わず名作ばかり、本当にいい組み合わせ! 女性支配人の久保田さんに、どんな基準で2本を選んでいるのかを聞いてみたところ──
良作であることはもちろん大前提。2本立ての片方を目当てに来たけれど、もう1本も良かったと思ってもらえるように、似て非なるものを心がけているそうです。また、どちらかというと女性のお客さんが多いということもあり、女性目線を意識したセレクトにもなっていますが、恋愛ものばかりとか、アート系ばかりとか偏らないように、女性目線ながらも男女問わず幅広い年齢層に受け入れてもらえる作品を選んでいるとのこと。選び抜かれた2本であることは間違いないです。
そして、このギンレイホールに通いたくなる理由はまだまだあって──それは「ギンレイ・シネマクラブ」というシネパスポートです。ふつうシネコンでは、何本観たら1本無料というポイント制が多いですが(もちろん、それも魅力的!)、ギンレイホールのシネパスポートは1年間何度でも映画を観られる、映画好きにはたまらないパスポート(シングルカード・1人用/11000円/1年間)。この映画館で1年間に上映される映画をすべて観られるだけでなく(※特別興行作品は除く)、気に入った映画を何度も観ることができるのも嬉しい! 会員さんのなかには『グレイテスト・ショーマン』を上映しているときに毎日観に来ていた方もいたそうです。
ギンレイホールのスクリーン数は1つ(202席)、とてもレトロな映画館です。いまは少なくなってしまいましたが、スクリーンの前にはカーテンがあって、上映が始まるとカーテンが開くのですが、いよいよ映画が始まるぞ!って、それだけで心がウキウキします。
また、企画上映などでサイレント映画を上映する際にピアノ伴奏付きでできるようにと、数年前にピアノを導入。もちろんフィルムも上映も可能、古き良き映画を楽しめる貴重な映画館です。
取材で伺ったのは平日の朝9時。1回目の上映が始まる1時間ほど前でしたが、開館30分前にはお客さんが並んでいるのが目に映りました。朝に伺ったこともあり、スタッフの方が館内を掃除している最中でもありました。建物も映画館も年数を重ねていますが、館内もロビーもとてもきれい! 気持ちよく映画を観てもらうために朝と夜、毎日丁寧に掃除をしてお客さんを迎えている。支配人をはじめスタッフのこまやかなおもてなしを感じました。
お目当ての映画を観に行くだけでなく、ここに行けばきっといい映画と出会えるという行きつけの映画館があるって、やっぱり素敵だと思うのです。
取材・文/新谷里映
写真/玉井俊行
エリア: | 東京 / その他 |
---|---|
住所: | 〒162-0825 東京都新宿区神楽坂2丁目19 |
電話番号: | 03-3269-3852 |
公式WEB: | https://www.ginreihall.com/index.html |
SHARE: