深夜にスタイリッシュなサスペンス、今回はその第2弾。以前紹介した「エレメンタリー ホームズ & ワトソン in NY」がクールな大人のミステリーなら、こっちはラテン由来のアツさがベース。濃密なヒューマンドラマと、そこから生まれる展開の妙がクセになる。
「これはスペイン制作のドラマで、自分たちの正義のために強盗する義賊たちが、スペインの王立造幣局を強盗するという内容です」(ぴんこ)
Netflixオリジナルドラマ「ペーパー・ハウス」は、VODではなかなか珍しいスペインのクライム・サスペンス。国際エミー賞とフェニックス賞を受賞するなど、世界的に評価の高いドラマである。
「スゴいのはですね、王立造幣局を強盗するだけでシーズン1が終わるんです! 事前に完璧に準備して、突入して、人質をとって立てこもって…っていう起伏はありますが、それにしても、そんなにまるまるワンシーズン使う!? って思っちゃいます」
なぜ、そんなに時間がかかるのだろうか?
「それは、すべてにおいて人間関係をしっかり描いているから。強盗団の中だけでも内輪もめがあったり、強盗団と人質との間にも特別な関係ができたり、人質たち同士でも何か芽生えてきたり、警察と主犯が実はつながってたり…。なんていうか、ラテンの人ってスゴいな、と」
「そういうつながりが濃い感じだから、計画がうまくいくこともあれば、アクシデントでうまくいかないこともたくさん。強盗の物語なのに、人と人との関係性がすべてを握っているという、ある意味のもどかしさとリアリティ。だから、なかなか進まない(笑)。『そこでお前が出てくるんか~い!』なんてのは、しょっちゅうです。でもそのツッコミが入れたくてしょうがなくなる・・・やみつきになるんです」
スタイリッシュだけどクセが強めで人間くさい泥棒モノといえば、「オーシャンズ」シリーズが思い浮かぶ。
「まぁ似てるといえば似てますね。でも、ず~っと外に出てこないんです。王立造幣局から(笑)。もっとダサいしストイック」
「あとは、スペインならではの作り方ですね。アメリカのドラマとも日本のドラマともまた違う、新しい面白さがあります。全部スペイン語だし、感情の表現方法も新鮮」
いままでに味わったことのない“違和感”も楽しみたいところ。
「とにかく、これまでのドラマ観からはいい意味で逸脱しています。『このくだりをそんなに時間かけて描くんだ!』とか『でもここはスルーなんだ…』とか『そんなにキレるところですか?』とか、ツッコミどころ満載です」
「シリアスでミステリアスだし、アクション要素もあって盛りだくさんなんですが、笑うところじゃないのに笑えてきたり、『え、なんで!?』っていうところで問題が発生したり。日本人の常識を超えたストーリー展開は絶対想像不可!」
もともと国際的に高評価で、その新感覚もあってか(?)日本でも人気が高まってきているのは間違いない。
「なんだかんだいっても、全体的にスタイリッシュだし、王立造幣局から移動しないけどテンポもいいし、飽きないですね。映像と音楽とのマッチングも不思議な感じがあって、気付いたら目が離せなくなってます! 実際、私のまわりにも、ハマってる人がけっこういます」
いつもよりだいぶ情熱的な魅惑のクライム・サスペンス。ちょっと変わったテイストを求める都会派に、新しい料理を味わう感覚で試してもらいたい。いまならシーズン2までしか配信されてないから、まだ追いつけるはず。そしてこのやみつきスパイスに是非魅入られてほしい。
取材・文:中山秀明
コンテンツセレクト:岡野ぴんこ
【ペーパー・ハウス】
国際エミー賞でも最優秀ドラマシリーズ賞を受賞した、スペインの大ヒット犯罪ドラマ。首謀者“教授”が立てた計画のもと、8人の強盗団が人質を取ってスペイン王立造幣局に立てこもる。手に汗にぎる強盗劇を、巧みな心理描写とともに描く。
Netflixオリジナルシリーズ「ペーパー・ハウス」シーズン1~2独占配信中
https://www.netflix.com/jp/title/80192098
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公式WEB: | https://www.netflix.com/jp/title/80192098 |
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