Netflixについて語るうえで必ずチェックしておきたい話題作「バード・ボックス」。劇場映画レベルの予算をかけたクオリティにまずは引き込まれるが、動画配信サービスというプラットフォームを活かした、作り手の斬新な仕掛けにも乗っかりたい。
「いつもはドラマやバラエティーを紹介していますが、今回はNetflixオリジナルの“映画”です。銀座線や山手線などを広告ジャックしていたこともあり、皆さんも一度は目にしたことがあるかもしれませんね」(ぴんこ)
「話題になりまくっているので、すでに観た人も多いでしょう。でもNetflixトークをするなら、コレはハズせないよね、ということで今回紹介しようと思います」
Netflixが巨額を投じて作ったSFスリラー「バード・ボックス」。サンドラ・ブロックや、ジョン・マルコヴィッチなど、そうそうたる顔ぶれがキャストに名を連ねる。
「あらすじとしては、突如として世界を襲った“何か”によって、人間たちが次々と自傷行為や自殺をしてしまう。その“何か”は、姿かたちもよく分からない謎の存在。それを防ぐには、目隠しをして、とにかく見ない、というくらいしか対策がありません」
「そんな世界で、サンドラ・ブロック演じるマロリーと2人の子どもたちが、安全な場所を目指して旅に出る。ある種パンデミックな怖さを感じます」
個性的な出演陣、映像やストーリーの重厚さも相まって、「バード・ボックス」は世界中で社会現象を巻き起こした。
「若者の間では“バード・ボックス・チャレンジ”というのも流行っています。たとえば劇中に目隠しして車を運転するシーンが出てくるんですが、実際にそれをマネしてみたり。NYでは、そのせいで大事故になってしまったこともあるんです」
ついにNetflixもバード・ボックス・チャレンジをやめるよう声明を発表。作品の影響力おそるべし。
この作品のもうひとつの魅力は“謎すぎる謎”だという。
「異様に“落ちが薄い”んです。全世界でプロモーションして、期待がとことん高まって、世界中で同時公開して…で、この落ちなの?みたいな」
「序盤からいろいろ伏線があったけど回収しきれてないし、この後どうなるんだろう?という終わり方をするし、こんなに豪華なスタッフとキャストで、この薄さはありえない!」
これだけだと、ただの消化不良。でもここからが、ぴんこ氏の主張する、もうひとつの楽しみ方。
「最後まで観ても、謎は残ったまま…。すると、人々は自分なりに考察をするわけですよ。評論家も一般人も、いろいろな説をいろいろなところに書き込んでいます。それらを参考にしつつ、自分が納得できる答えを考えるんです。そこまで含めて、やっとこの映画が完結する!というのが、私の見解です」
日本でも「世にも奇妙な物語」や「放送禁止」などのように、謎のまま終わる手法は脈々と使われている。
「PCで観ている人なら、観ながらでも途中で調べられますよね。『アレって何だったの?』『あぁ、そういう見方もあるのか』みたいな。そういう行動まで計算して、Netflixは仕掛けたんじゃないかと」
たしかに、それは動画配信サービスならではの楽しみ方といえる。
「もしこれを映画館で観ていたら『はぁ?』ってなるんですが、動画配信サービスなら観返すこともできるし、こういうのもアリかな。世界中に配信されているので、考察も世界中で行われています。人によって考え方がぜんぜん違ったり、お国事情が加味されていたり、ほんとうに面白いですよ」
“分からないまま終わる”新しさ、そして、そこから広がる思索の旅。「バード・ボックス」は、話題作であると同時に、新しいエンタメのカタチを提案した意欲作、なのかもしれない。
取材・文:中山秀明
コンテンツセレクト:岡野ぴんこ
【バード・ボックス】
サンドラ・ブロック主演、アカデミー賞受賞歴を持つスサンネ・ビア監督が贈るSFスリラー映画。正体不明の闇“何か”に追われて世界の人口は激減。その中で生き延びてきたマロリーと、幼い子どもたちの危険な逃避行を描く。
Netflixオリジナル映画「バード・ボックス」独占配信中
https://www.netflix.com/jp/title/80196789
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公式WEB: | https://www.netflix.com/jp/title/80196789 |
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