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東京・夜こそ行きたいカフェ事情

飲みに行った帰りや時間つぶしでなく、敢えて、夜こそ、「カフェに行く」予定を入れたい。そんな魅力的なお店が東京に増殖中。さぁ、夜カフェしに、わざわざ、出かけましょう。

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下北沢で過ごすあたたかいアナログ時間。深夜にレコードとコーヒーを。

CITY COUNTRY CITY(シティー カントリー シティー)

仕事もプライベートも、全てがデジタルの日常。だからこそ“手作り”や“アナログ”が貴重になってきた。下北沢の隠れ家「CITY COUNTRY CITY」が深夜に提供してくれるのは、まさにその貴重なあたたかい時間である。

 

レコードとカフェの融合。あたたかみのある空間

都会の中の田舎っぽさ、あたたかさを感じられる場所をとの想いから名付けられたという「CITY COUNTRY CITY」。オープンから14年目を迎えるこの店は、カフェとレコード店が垣根なく融合する珍しい場所である。

DJの経歴を持つ店長の平田さん。学生時代にレコードに魅せられてからずっと、“いずれはレコード店を開きたい”と思っていたそう。

やがてこの店のオーナーでもあるアーティスト、“サニーデイ・サービス”のボーカルの曽我部恵一さんと出会い、“友だちや仲間が集まれるような場所をつくりたい”という想いで意気投合した。

レコードをかけるだけではなく、コーヒーや食事なども楽しめてくつろげる空間にしようとカフェも併設する形となったのだという。

ここ何年かで下北のレコード屋は増えているそうだが、22時以降に開いている店はほぼないと言っていい。

「夜遅くまでレコードが物色できる店は世界でもここだけかもしれないですね」(平田さん)

営業時間は25時まで。夜も深い時間までレコードと触れられる、特別感のある場所というわけだ。

ペントハウスのように、夜の風景が溶け込む店内。下北沢の街の賑やかなライトと、空の色がそのまま、店に入ってくる。ぼんやりと夜の光が入ってくるこの作りも、私たちをリラックスさせてくれる要因かもしれない。

デジタルとは違う、奥深いアナログレコード音楽の魅力

「レコードは箱を鳴らす、空間を揺らすことで音が出ます。さらに、その空間や天候などその時々の条件によって鳴り方が違ってくるんですよね。配信などのデジタルな音楽も良いですが、アナログで気まぐれなレコードの世界も中々奥深いですよ」とは、平田さんが語るレコードの魅力。

平田さん自らが買い付け、セレクトしたという、店内の壁沿いにずらっと置かれているレコードは全て購入できる。洋楽、邦楽を問わずに幅広く、ジャンルごとにまとめられており、気になったものは試聴も可能だ。

ゆっくり過ごす空間。お供は充実の食事メニュー

レコードのあたたかみのある音楽が流れる中でゆっくりとくつろげるのは、やっぱりここが“カフェだから”。そして実はこのカフェ、“食事をする人”が圧倒的に多いのだという。その理由は充実した食事メニューだろう。

スタッフさんと会話しながらくつろげるカウンターは人気席だ。一人でサクッと食べられるメニューのラインナップも豊富。

人気メニューは「明太子のパスタ」(¥980税込)。具材は日替わりで変わるという楽しみがある。モチっとした食感の生パスタには根強いファンが多い。

カフェ使いももちろんウェルカム。手作りの素朴さを感じる「かぼちゃのチーズケーキ」(¥600税込)はその濃厚な味わいが人気。ケーキをちょっとずつかじりながら、レコードを聴くなんて、ちょっと贅沢な過ごし方かもしれない。

カフェでもレコードでも。過ごし方にきまりなし

ここに集う人は若い人から親子連れ、外国人まで幅広い。時には有名な海外のDJの横に制服の女子高生なんて光景もあるとか。その誰もがレコードを目当てに訪れる、通な人ばかりでは決してなく、気軽にカフェとして利用する人のほうが多いという。

「カフェとして入ってみたんだけど、『あ、レコードもあるんだ!ジャケットなんかおしゃれ!』ってくらいの位置付けでいいと思っているんですよ。」(平田さん)

レコードはあくまで店での時間を楽しむためのひとつのツール。各自が好きな過ごし方を選択していい。このゆるやかさが、なんだかあたたかな気持ちになる理由なのかもしれない。

食事にスイーツにコーヒーに。レコードに囲まれながら皆おもいおもいのゆったりとした時を過ごす。この“あたたかさ”は是非体感して欲しい。せわしない世界から切り離され、心のゆとりを取り戻させてくれる静かな夜を過ごせる空間があなたを待っていてくれるはずだ。

 

取材・文:森田文菜

撮影:きくちよしみ