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大事なもののためには、カッコなんて気にするな! 家族の絆に胸熱のヤクザ漫画

VOL.33 大事なもののためには、カッコなんて気にするな! 家族の絆に胸熱のヤクザ漫画

周りの視線が気になって、自分の好きなことに一生懸命になれない……。でも本当はわかっているはず。やりたいことをやるべきだと。大切なものを守るために、なりふり構わず徒手空拳で立ち向かう。そんな不格好なヒーローが、悩めるあなたを勇気づけてくれる。

読めば心があたたまる! 元・最強ヤクザの奮闘記

「前回に続いて、今回もヤクザ漫画です。大切な人を守る、その思いだけで襲いかかる悪を全て倒していく最強最愛の元ヤクザ・仁清(じんせい)が主役です」(ぴんこ)

今回紹介する『傷だらけの仁清』は、ド派手なバトルにヒューマンドラマやホームコメディの要素を加えた、猿渡哲也の任侠漫画だ。

©猿渡哲也/集英社

「仁清はあるお屋敷で使用人として働いています。その家は本来ならヤクザと相容れない、代々お金持ちの警察関係の家柄です」

かつてステゴロ(素手でのケンカ)最強のヤクザとして恐れられていた永井仁清は、警察署長・円城寺正義の娘を助けたことがきっかけで、極道の世界から足を洗った後、円城寺家の使用人として勤めている。

「円城寺家の奥さんや娘さんと、仁清との絆が全編を通して描かれているんですが、こんなに愛のあるヤクザいる!? っていうくらい仁清が愛にあふれているんです。どんなに実生活でイヤなことがあっても、この漫画を読めば心があたたまる!」

「奥さんは清楚だけど芯のある女性。仁清はひそかに奥さんに惚れているんですが、色恋どうこうじゃなくて、とにかく自分を慕ってくれている奥さんを絶対に守ろうとします。そして娘のあゆみちゃんも仁清のことが大好きで、ふたりの仲良しっぷりもほほえましい! いつも仁清が小学校に送っていくときに、今日も勉強がんばれって言う、みたいな関係です。あゆみちゃんのお転婆っぷりと懐きっぷりもたまらない!」

任俠漫画でありながら、家族や家族同然の人たちとの絆を描いた“愛の漫画”でもあるのだ。

 

大切なもののために命をかける。仁清から人生を教わる

愛にあふれる『傷だらけの仁清』は、良いエピソードの宝庫。これは、円城寺家の母子ふたりと仁清が、お祭りに出かけたときの一コマ。

「仁清の昔の仲間がお祭りでテキ屋をやっていたところ、他の組のシマ荒らしにあって半殺しにされてしまいます。助けを求められた仁清は力を貸したいんですが、旦那さんから『ヤクザから足を洗ったなら、仁清のためにも娘のためにも、昔の仲間とは一切接触しないでほしい』と言われていたので悩みます」
「悩んだ結果、やっぱり助けに行くしかない、と思って奥さんを見ると『助けを求める仲間を見殺しにするような人には、うちの敷居をまたいでほしくない』と言ってGOを出します。私はそのエピソードが大好きで、家族の絆だけじゃなくて、奥さんの姐さんっぽいところもカッコイイ! 堅気の奥さんなのに誰よりも正義感が奥底にある、強い部分が垣間見えるんです」

仁清は今やただの使用人なので、暴力は基本NG。だが、家族が危険にさらされたり、仲間から助けを求められたりすると、とんでもない力を発揮する。

©猿渡哲也/集英社

「自らを犠牲にしがちな仁清に対して『自分も大切にしてほしい』と円城寺家の面々がいつも伝えることで、仁清自身も愛されているのだと気づく。そのプロセスにもう涙々……。私はとにかくこの漫画で何度も泣いてます!」

本当に大切なもののために一生懸命になる姿は、周りの人々に伝わるし、きっとわかってくれる。キャラクターの振る舞いやセリフから気づかされることも多い。

「愛にあふれている、とはいっても任俠漫画なので、悪者たちのえげつなさはピカイチです。仁清は敵に対して一切容赦しないですし、敵のやり方もかなりえげつない。任侠漫画としても、しっかりした読み応えがあることは私が保証します!」

泣けて、笑えて、スカッとできる。『傷だらけの仁清』は、まさに“人生”が詰まった名作だ。任侠ものだからと毛嫌いしないで、ぜひ一度手に取ってみて。

 

取材・文:中山秀明
コンテンツセレクト:岡野ぴんこ