HOME WELL BEING TOKYO WELL-BEING “東京でつながる”という幸せ しごとバー主宰・ナカムラケンタが実践する「生きるように働く」環境づくり
しごとバー主宰・ナカムラケンタが実践する「生きるように働く」環境づくり

VOL.14 しごとバー主宰・ナカムラケンタが実践する「生きるように働く」環境づくり

「しごとバー」や求人サイト「日本仕事百貨」の運営で、様々な人の生き方に出会える機会をつくっているナカムラケンタさん。そんなナカムラさん自身が人生において掲げているのは「生きるように働く」こと。それは、暮らしの中に「働く」を溶け込ませ、仕事の時間もやり甲斐のある「生きた時間」にする、というものだった。

いい働き方をする人に出会えるイベント「しごとバー」を開催する、ナカムラケンタさん。ナカムラさんの信条は「生きるように働く」ことだ。一見すると不思議なこの言葉、一体どういうことなのだろう。

 

「仕事をしているときも、そうでないときも、自分の時間を過ごしたいんです」

 

そう話すナカムラさん。これは、暮らしの中に働くことを溶け込ませる、と考えるとイメージしやすいかもしれない。

たとえば休日を考えてみるといい。起きたいときに起きて、やりたいことに向けて動き出す、というように「自分の時間」を過ごすことができる。でもそんな休日が、仕事をしている日のように誰かの主導でスケジュールに縛られてばかりだったら疲れてしまう。

多くの人の休みの日の過ごし方と同じように、仕事も主体的に活動できる環境をつくるのが「生きるように働く」ということなのだ。それは相手に対して、誠実だとも言える。

たとえばナカムラさんの自宅は、会社からすぐの場所にあるという。

シゴトヒト代表 ナカムラケンタさん

「自宅は会社から1分のところ。サラリーマン時代、移動に時間がかかることや満員電車が辛かったんです。働く場所と暮らす場所を密な距離にすれば、心地よいし余裕も生まれるんじゃないかって」

 

朝起きて、近所のコンビニにふらっと行くような感覚で出勤。さらに仕事中、雨が降れば洗濯物を取り込みに帰り、行き詰まったら豊洲や築地までランニングしてシャワーを浴び、また会社に戻る。

 

「家のこともできる余裕ができました。妻より僕のほうが家事をやっていることも多いくらい。もちろん、僕の出勤時間は1分で、彼女は20分くらいかかるということもあるので当たり前なんですけどね。あと食事をつくって妻の帰りを待つのも好きです」

 

「でももちろん、仕事と生活を明確にわけたい人もいる。気持ちを切り替えたいとか、休日までオフィス街にいたくないとか。もちろんその気持ちもわかります。僕は働くことも暮らすことも、すべて自分の時間と言えるように連続したもののほうが心地いいです」

 

ナカムラさんは勤務中も、マイペースに過ごせる環境をつくっている。

オフィスの一角に置かれていたのは、眠くなったらいつでも堂々と寝ていいという仮眠用ソファ。「昼ご飯を食べたあとは眠くなるんで、ここで一眠りすることが多いです(笑)」と、スタッフの女性。

お昼ご飯は一階にある食事処、「ご飯や 今日」で。社員割引でドリンクは無料。夜は酒処として営業しているので、仕事終わりにそのまま一杯飲んで帰ることだってできる。仕事モードから一息、スタッフ同士で自然にコミニュケーションを測れるのも楽しい。

さらには、こんなことも。

 

「今後オフィスの上の階には、ジムスペースを作ろうかなと思っているんです。仕事の合間や仕事終わりにリフレッシュとして運動ができたら楽しいでしょ」とナカムラさん。

 

食事も、休憩も、運動も。とにかく、自分の体や気持ちに合わせてマイペースに「働く」を実践できる環境をつくっているのだ。スタッフの多くはナカムラさんのようにオフィスの近所に住み、徒歩か自転車で通っているという。

「常に詰め込まれた状態では、思ったような仕事ってなかなかできない。時間の余裕、心に余白をつくることで仕事のクオリティもあがりました」

 

自分のリズムで働くことは、実際に仕事のパフォーマンスも上げているのだという。そしてナカムラさんは、環境だけでなく、働く人のマインドにも「生きるように働く」を推奨している。

たとえば「しごとバー」では、お酒を飲みながら、カジュアルに、様々な人の生き方を知ることができる機会をつくっている。

そしてもう一つ、ナカムラさんの会社が運営する求人サイト「日本仕事百貨」では、ただ仕事の内容や給料などの条件を羅列するのではなく、実際に自分がその仕事についたら、どんな日々を送るのだろう…そんな妄想を駆り立てるような取材記事を掲載している。

 

「旅行雑誌をめくっていると実際にその土地を訪れなくてもワクワクするじゃないですか。動かなくても旅はできるように、記事を読むだけで自分が働いている気分になったらいい。日本仕事百貨も今の仕事に満足している人が読んでも、こんな仕事があるんだ、生き方があるんだと楽しめるサイトになっています」

ナカムラさんが提案する「生きるように働く」は、自分の暮らしに「働く」をとりこみ、かつ仕事を作業や給料を稼ぐための時間ではなく、生き甲斐ややり甲斐をもった「生きている時間」として意識づけることなのだ。

だからこそ当然、「ムダな仕事時間」は排除したいと考えている。

 

「無闇に残業する文化は本当にナンセンス。必ずしも仕事はかけた時間に比例しない。同じ仕事をしていてもイヤイヤ残って100時間かけた仕事より、集中して10時間で仕上げた仕事のほうが良いと思う。それに、残業を減らせば暮らしに余裕も生まれる」

 

誰かに言われて残業したら、自分の時間ではないかもしれない。ナカムラさんは、自分で考えながら仕事を進めていくことを何より重要視している。

 

「育休や産休について会社で話し合う機会があったんです。僕は本人のやりたいようにやってほしくて、だからどうやったら会社を継続しつつ本人も心地よく働けるか、みんなに提案してもらう形にしました。正しく休むってすごく大事なことだから」

 

人生の中で、「生き甲斐」が出産や育児にシフトしたとき、当然、働くことのやりがいも変わってくる。そうなったときの環境づくりについても、ナカムラさんはじめ職場全体で、最適解を探そうとしているのだ。

「上から指示されて動くことが当たり前になると何も考えなくなっちゃう。僕は仕事の決め事もある程度スタッフに一任して事後報告でいいかなと思っています。たとえ失敗しても怒らないし僕が責任をとるから、のびのびと仕事をして自分で考えてほしい」

 

自分主導で、自分のリズムで「生きるように働く」生き方。日本の企業で働く多くの人にとっては、まだまだ難しいと思うかもしれない。でも、既存の価値観に囚われずに見つめ直すことで、自分にとって本当に心地いい生き方に近づけるのかもしれない。

 

 

写真:河野優太

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