ファッションやメイクアップと同様に、印象を決める要素のひとつである香り。一方で、近年は香りの選択肢も広がり、その価値観も対人的から自分を労るためのパーソナルなものとして取り入れる人が増えた。そんな香り選びで重要視されていたのが、自分の直感で香りを選択すること。しかし、ここにきてそんな香りカルチャーが変わりそうな動きがある。AIがユーザーの感性と香りを繋げるパーソナライズの役目を果たしてくれるというのだ。今回は、そのシーンで勢いを見せる主要な4つのサービスを紹介する。
Googleの人工知能(AI)研究チームである「Google Brain」が、分子の構造を基に香りを推測させようと、機械学習アルゴリズムにトレーニングを続けていたり、ブラジルの化粧品大手「O Boticario(オ・ボチカリオ)」が、AIが調合した香水をリリースするなど、香りのマーケットにも着実にAIの波が到来している。日本においてそんな未来への一歩といえるのが、AIのデータによってパーソナライズした機能性アロマである。従来、世の中に出回っている香りは、ブランドと調合師の中で完結する、いわば“誰かのための”香りだった。それをAIの質問から導き出される診断結果をもとに、自分の好きな香りや似合う香りのマッチングが実現されている。いずれも、1ヶ月程度で使い切れるミニサイズというのも特徴で、サブスクリプションとして定期的に自宅に届くのも嬉しい。さらに、いわゆるヨーロッパ系のメゾン・フレグランスとは異なり、樹々の香りなど日本独自の繊細な芳香によって、メンタルに働きかけるアプローチをしている点も見逃せない。さっそく、シーンの気鋭ブランドをみていこう。
「CODE Meee ONE(コードミー ワン)」は、仕事の合間など気分転換を目的に開発されたもので、周囲50cm以内に香る自分だけの香りがコンセプトの香りのサブスクリプションサービス。「香りに機能を求める今のムードにも合っており、今まで香水が好きでなかったユーザーからも好評です。ストレス解消や集中力を高めるなどある意味、ヘルスケア的な役割を果たしています。自分のコンディションを香りで最大化することが可能です」と代表の太田さん。またこのご時世もあり、マスクにアロマを振りかけて使用しているユーザーも見受けられるとのことだ。
診断はWEB上から行い、自分のプロフィールのほか、改善したい精神状態やストレス課題、気分を上げたいなど理想のイメージを登録していくと、3,000種類以上の調合レシピの中から最適なアロマが3種類提案される。利用者は10代〜70代まで幅広く、プレゼン前の気持ちの切り替えに利用したり、同アロマで禁煙に成功したユーザーもいるとのこと。自分の性格要素や心理状態から感性科学にもとづいて導き出された香りだからこそ、納得して使うことができるように感じる。
ローンチから3日で、 WEB診断は10万件を突破し好調なのが、10万ものデータから香りをオーダーメイドができる「LIBERTA PERFUME(リベルタパフューム)」だ。代表の山根さんの「女性はフローラル、男性はウッディといったステレオタイプな価値観から解放されて、香りで自分らしさを表現して欲しい」という熱い思いからスタートしたプロジェクト。現在はユーザーの「実際に香りを嗅いでみたい」という声に応えるべく、ワークショップやフルオーダーなどのイベントも増えており、リアルとバーチャルを組み合わせて展開している。
同サービスの質問は全20問。体質や生活習慣など自分のライフスタイルや具体的な用途を中心に回答していく。すべて回答し終えると、アロマの提案だけでなくおすすめの香りの処方、その香りが周りに与える印象、付け方などが提案されるのもポイントだ。「これまで香水は、決められた場所の、決められたプロダクトを、分からないまま選ぶという人が多かった中で、自分のための香りを見つけて個性を持てたらいいと思います」と山根さん。メールで贈れるEギフトカードもあるので、ギフトとしての利用者も増えているとのこと。
先述した2ブランドとは打って変わって、100種類以上の既存の香水からAIのアルゴリズムがカスタマイズしてくれるサブスクリプションサービスが「SCENTPICK(セントピック)」。これまでフレグランスなどテスターを試してみないとなかなか購入できないアイテムだったが、こちらでは好みだけでなく、ライフスタイルやキャラクターなどから細かく分析を行うことで、自分に最適な香水と結び付けてくれる。
それだけでなく、同サービスのメリットは1ヶ月で使い切れる5mLサイズの小分けボトルで届くこと。
香水をフルボトルで購入すると途中で飽きてしまい使い切れない場合があるが、その課題を解消してくれた。「今後は、ラグジュアリーブランドやメゾン・フレグランスだけでなく、日本の調香師や職人のフレグランスを増やしていきたい」と広報の川島さん。既に知っている香水でもAIによる判定なら、普段自分が選ばないような新たな香りを発見できるかもしれない。
身にまとうタイプのフレグランスとは少し異なるアプローチでAIを活用しているのが、こちらのアロマディフューザー「Scentee Machina(センティー マキナ)」である。従来のアロマディフューザーは日々のメンテナンスが面倒であるため長続きしない人もいるかもしれないが、こちらAIが香りを管理してくれるのでそんな心配は無用。
14種類の中から好みのフレグランスボトルをセットし、アプリを使って操作する。注目すべきは、初めは自分で操作が必要だという点。その操作履歴を参考にAIが時間に合わせた好みの香りや噴射する香りの量を細かくスケジューリングしてくれる。つまりは、使えば使うほどAIが好みを学習し、自分にフィットしていくという仕組みなのだ。この精度をあげれば、香りを使って家での快適さを向上させるのも夢ではない。
天気予報の正確さや病気の進行予測などでは、もはや人はAIに勝つことができないといわれる。そう考えると、AIの分析によって導き出された香りとのマッチングは、あながちはずれてないのではなかろうか。AIのパーソナライズによって、自分の新たな香りセンサーを開くきっかけになるかもしれない。
エリア: | 注目商品・サービス |
---|---|
公式WEB: | https://codemeee.one |
エリア: | 注目商品・サービス |
---|---|
公式WEB: | https://liberta-perfume.com |
SHARE: