ふだん何気なく暮らしているこの世界には、まだまだ知らないことがたくさん。事実は小説よりも奇なり、じゃないが、怪しく奇妙な“事実”の数々はとにかく魅力的。1回15分ちょっとで、自分の価値観がガラッと変わる知的エンタメ体験を。
「コンセプトは『アンダースタンド・ザ・ニュース』。この何とも微妙な邦題のとおり、いま世界中で起きている『なんか聞いた事あるけど、これって結局何なの?』な事件や現象を、専門家の意見を交えて教えてくれる番組です。ちょうどいい具合に“いま気になる”話題ばかりなのがうまい!」(ぴんこ)
Netflixオリジナルシリーズ「世界の”今”をダイジェスト」は、Voxというアメリカのニュースメディアが監修している。
「Voxというのは、ただの報道機関じゃありません。独自の視点で世相を切るぜ、TVとかのマスメディアに惑わされるな、みたいな反骨精神のあるメディアなんです」
「番組で扱われているネタは、政治的公正さとか男女間の賃金格差といったマジメなものから、女性のオーガズム、タトゥー、K-POPとかのサブカルっぽいものまでさまざま。『何でこうなっているんだ』とか『こういう見方もあるよ』という新しい切り口を与えてくれる感覚」
ざっくりいうと、時事ネタや流行をさまざまな観点から検証して解説してくれる、という内容なのだが、そのテーマ設定がちょっと特殊なようだ。
「すごかったのが、あの『!』ビックリマークについて延々と解説する回。あのマークって実はすごい歴史があって、いつ、誰が考えて、なんで広まったか。あと、女性が社会進出しはじめた時代は、文学界でも『!』が使われる回数が増えたとか、社会情勢との関係性にも触れてみたり。ビックリマークだけで15分も飽きさせず語り続けることができるのがこの番組のすごいところ」
「話題になっていることを専門家だけじゃなくて、当事者が出てきて語るのもポイント。たとえばさっきのビックリマークを実際に作った人の家族とか、「カルト」がテーマの回だと実際にカルト宗教にハマって、その後何とか抜け出した人の話とか。当事者が自らの体験と感情を交えて語るからこそ、リアルな事情が見えてくるんですよね」
「これを観ると、ほんとうにいろいろな社会を怖いもの見たさで覗き見してる感じ。わたしたちが当たり前のように接していることでも、実はこういうものだったんだ、と。ひとつのメディアだけで何かを発信する時代はもう終わったんだなと思いました。価値観がワープする感じ」
ふだん何気なく暮らしていると、見過ごしてしまうような事実。知らなかったことを知ると、世界の見方は変わる。
「でも、そんなに小難しく身構えなくても大丈夫。普通のニュースメディアより強い信念や自分たちの価値観で世の中の出来事が編集されているから、『このことに関してこう言う目線もあるの!?』と自然に引き込まれていきます」
「ちなみに1回がだいたい15分くらい、長くても25分程度。再現VTRを漫画でやったり、タイポグラフィックな映像を使ったりして、スタイリッシュにわかりやすく解説してくれるので、映像もすごく観やすいですよ」
これは雑誌「ムー」よりももう少し信ぴょう性があって、NHKの「クローズアップ現代」よりももう少しオシャレで怪しい感じか。
「わたしはうまい具合にキャッチ―でサブカルな話題に釣られて、そこからe-スポーツとか仮想通貨とか、ワード自体はよく聞くけど実際は知らないようなことまでちゃんと説明してもらいました。あ、これ小中学校の道徳の授業で流してもいいかも。回によっては、親からすごいクレームきそうですけど(笑)」
たしかに学校や会社で教えてくれない世界の“見方”を知ることは、自分の視野が広がって、ちょっと人として成長できそう。この番組が授業に使えるかどうかは別問題だけど。
取材・文:中山秀明
コンテンツセレクト:岡野ぴんこ
【世界の”今”をダイジェスト】
世界中でHOTな話題から、知る人ぞ知るカルチャーまで。世界で起こるさまざまな社会現象を、アメリカのニュースメディア「Vox」が多角的な視点から解説するドキュメンタリー。
Netflixオリジナルシリーズ「世界の”今”をダイジェスト」シーズン1~2独占配信中
https://www.netflix.com/jp/title/80216752
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