HOME WELL BEING 29歳、ハマ・オカモト(OKAMOTO’S)の10年 「客観的に見た自分」を知ることができるようになった -ハマ・オカモト対談3/4
「客観的に見た自分」を知ることができるようになった -ハマ・オカモト対談3/4

VOL.3 「客観的に見た自分」を知ることができるようになった -ハマ・オカモト対談3/4

10代でデビューし、キャリア10年。かつては同世代とは異なる感覚を持っていたそうだが、20代後半に差し掛かってからは、その感覚と同世代との関係に変化が出てきたそう。29歳になったハマさんのリアルな姿とは。

ぴんこ:

ハマさんは今年が20代最後の年ですけど、20代を終えるって何か気分はありますか?

ハマ:

早生まれなだけなので、実質30になる年ですからね。やっぱりハタチ、成人式とか、煙草が吸えるお酒が飲めるだとかがキーみたいなところがありましたけど、仕事を始めていたということもあって、何とも思わず、変化も特に感じず。でも25歳になったときに、「25か!」って初めて思いましたね。周りの友だちも立派な社会人じゃないですか。「髪薄くなってないか?」って人とかもいるじゃないですか(笑)。僕は同級生の女性陣が結婚するのが早かったので、子供だなんだとなってきて、いよいよ大人だねみたいなこと言ってたら、うちのドラムもギターも結婚して。2人目のこどもがいる同級生もってなったときにですね、大人の自覚を得たというか。やっぱり19歳でデビューしちゃってるんで、仕事だとかいろんなこと考えましたけど、根底にあることってそういう縁ですし……。僕はいまだに高校の同級生とかよく会うんで、なんかね、やっぱりどこかで止まっちゃってた感じはあるんですけど。だからいわゆるこう学生時代ロスみたいな、卒業してすぐ同窓会やるみたいな。僕らの周りでもやってたんですよ。でも「いや早いだろ」って、「10年後でいいだろ」って言ってた10年がきたんだなと思って。だから30歳で今やるとかは意味ありそうだなって心の底から思えるようになったから、やっぱり新しいことが始まる感じがすごくしますね。一回リセットされる感じが。それはバンドが10年経ったとかももちろんあるんですけど、やっぱり僕らがデビューしたときって、アニメのタイアップとればCDがどれくらい売れるみたいな方程式がまだあったんですけど、今や関係なくて。で、なんかアイドルがすごいバーって出た時代を横目に、自分たちよりキャリアが短いバンドが売れていくのを見てて、バンドってもうどうなんだろうねって言ってたら、髭男とかKing Gnuみたいなバンドが出てくるっていう流れがあって。10年って本当に目まぐるしかったなって。配信になりフィジカルが全然売れないとか、本当に全部がカルチャー的に変わっていった10年だったんで、ある意味ここからじゃないかなって。本当にストリーミングだけになってCD作らなくなるのかとか。それによってやり方変わるじゃないですか。だから判断するにはまだ早いですけど、自分たちが30歳になるし、今年か来年あたりにあらゆるシステムも変わると思うんで、そういう意味では新しい感覚で物事をやっていかないとなって思ってますね。

ぴんこ:

なるほど。そうですよね、音楽業界っていうもの自体がだいぶ変わりましたもんね。

ハマ:

それ以外にも、本屋がなくなるとか、ね。考えられなかったことなんで。だって10年前ってPASMOとか、スマホのカバーにICカードを入れるとかもなかったでしょ?

ぴんこ:

全然ない!

ハマ:

全然ないでしょ? 今回、OKAMOTO’Sがベストアルバムを出すにあたって、ファーストアルバムのジャケットとまったく同じカメラマンさんに、当時使ったオブジェの前で同じポーズをして撮ってもらったんですけど。(写真を)撮ったらBluetoothでパソコンの画面に転送されるって、今だと当たり前じゃないですか。でも当時、僕らこどもだったんでフォトスタジオっていうところにも行ったことがなくて、尚且つ今撮ったものがパッて映るから「みんなそれで『すげぇ!』って5分10分騒いでたよ」ってカメラマンさんに言われましたよ(笑)。無かったもんねそれも、っていう話になって。TwitterはあったけどInstagramは無かったし。

ぴんこ:

スマホじゃない人もいたもんね。

ハマ:

そうですよね、2009年、2010年あたりなら。やっぱり全部変わりますよね。だから10年やってきた感覚は財産なので、そこはリセットできないししないんですけど。でもやっぱりこう新しいアンテナを張るとはちょっと違いますけど、言ってもまだ30の歳っていう考え方もできるんで、この20代を捧げた10年っていうのをどう無駄にしない30代にするかっていうのは考えます。同年代のバンドみんながそうというわけではなくて、うちが異常にデビューが早かったから、やっぱりその10年を経験してるっていうのは武器にしないと。じゃないとただのずっといてちょっと邪魔なおじさんのバンドって言われたら嫌だなって(笑)。「なんかずっといるよね」みたいな(笑)。よく「僕らとKANA-BOONはタメですからね」っていう話をしてて。

ぴんこ:

あぁ、そうか〜! この歳でもはやデビュー10年ってなかなかないですよね。

ハマ:

Suchmosもみんなタメだし。Yogee New Wavesやnever young beachもね。

ぴんこ:

特殊ですよね。

ハマ:

そうなんです。その特殊っていうのが、ある意味特殊だと思われることも嫌だったんですけど。だけど10年経って、良く考えられるようになったとは感じます。ちゃんと振り返れるというか。

ぴんこ:

私が一緒にやってたときはまだまだ若くて、でもそのときすでに海外の楽器メーカーと契約が決まってとか、どう考えても知らない人から見てもめちゃくちゃすごいことしてたんですけど、ハマさんはすごく自然体で。私のイメージだと周りの大人とか業界の玄人の人たちが「ハマ・オカモトっていうすごい奴がいる」みたいな、周りのほうが色めきだっていたというか。その中ですごく自然体のハマさんがいたっていうイメージだったんですね。それが4〜5年前くらいなんですけど、そのへんってご自身はどうですか? そしてそれが今になって。

ハマ:

最近何の因果か、それこそご一緒してたときも、大人たちに助けてもらってて。大人と一緒に楽しいものを作るみたいなことをずっとやってきて。でもここ数年で同い歳のバンドがデビューして有名になって、一緒に仕事も多くなって。今そのMcGuffinっていう動画メディアでLicaxxxっていう同い歳のDJと番組をやってて、ゲストも基本的に歳が近い。それって僕が10年やってきて、本当にここ2年くらいの状況なんですよ、“同い歳と喋る”っていうのが。それでこぞって言われるのが、「怖くて話しかけれなかった」って(笑)。

一同:

(笑)。

ハマ:

すごい心外では全くないんですけど、びっくりっていうか。話したらこんな感じじゃないですか。

ぴんこ:

自然体でね。怖い人でもないし。

ハマ:

そういう自覚があったんで、最初は笑ってたんですけど。「そんなこと〜(笑)」って。でも来るゲスト来るゲストみんなそう言うから、落ち込んできちゃって(笑)。そうだったんだ……みたいな。だからそういう意味では特殊だったんだと思いますよ。Licaxxxもそう言ってたし。だから同い歳みたいにちょっと話して、「飲みに行きましょうよ」とか絶対に言えないって。「だって言われたら行ってました?」って聞かれて、「まぁ、行かないですけど」って(笑)。

ぴんこ:

行かないんだ(笑)。

ハマ:

だからバンド以外の同い歳が増えたことによって、また新しく客観的な自分がどうだったかをそこでも知れて。さっきの他人の本を書いてるじゃないですけど、それもようやく納得してきて。この年齢のときにこんな風貌してて、なんかすごいこと言ってんなって(笑)。亀田さんと20そこそこで対談してんなって(笑)。でもそこに自分があぐらをかいていた自覚はないんで。やれることって、ラジオだったら聴いてて面白くできるかとかしかないじゃないですか、ぶっちゃけ。だから年齢によって、「絶対に何かのパワーが働いてる」とか「この年齢でそんな仕事が来るわけない」とか言われたり。でも、じゃあ蓋開いたときに、ちゃんと面白く喋れてるかとか、良い演奏できてるかとか、そこで魅せるしかできなかったからがむしゃらに頑張って。がむしゃらにやってた良さもあるんですけど、それゆえに、自分ってどうだったのかなっていうのが掴みきれてなかったなって。それがここ最近であります。

ぴんこ:

じゃあ、そこで活躍する同年代のアーティストとかが増えて、そのへんの見られ方も変わったんですね。

ハマ:

「最初に知り合ったのどこだったっけね?」っていう話になって、「こうだったけど、怖かったです」っていう話になったときに、もうちょっとね……。でも何をするっていうわけでもないんですけどね。今やっていることがもうちょっと浸透してくれればいいだけなんだと思うんですけど。作ってるところもあるんで、俺らは。バンドマンって本当にバックヤードでラーメンと風俗の話しかしないから、「本当に嫌い!」みたいな同業嫌悪みたいなところがあったんで。フェスとか全然楽屋から出てこないみたいな。出てきたと思ったらアイスだけ持って戻ってくるから「こ〜わっ! あのバンド」みたいな(笑)。そこは反省点ですね、ツンケンしてたんで(笑)。なんかやっぱり舐められちゃいけないみたいなのがあって。でも片や、民生さんとかとは仲良く喋ってるんですよ。事務所の先輩でもあるんで。周りのバンドからしたら、民生さんなんてそれこそ挨拶行くのも緊張するのに、「なんかあいつらめっちゃ普通に喋ってんな」みたいなのがあって、でも周りとは全然喋らないみたいな感じだったんで、本当に感じ悪いっすよ(笑)。歌ってる奴は何人かわからないし(笑)。

一同:

(笑)。

ハマ:

おかげさまでこうやって、スタイリングとかチームとかも良き人たちに恵まれてるんで、どんどん周りの人たちに作っていってもらっているがゆえに、近づきづらかったっていうのは、今になってはたしかに納得できるなって。そういう見られ方は、変えていかなきゃと思ってますね。

かつては自分より大人ばかりがいた仕事場が、ここ2年ほどで、同世代ばかりになってきた。すると、彼らを通して20代前半までの自分の姿を知ることができるようになったと話していたハマさん。こうしてかつての自分を認識できるようになるというのも、29歳の境地のひとつなのだろう。

<第4回につづく>

ベストアルバム「10’S BEST」
2020年4月15日に発売される、OKAMOTOʼSのデビュー10周年を記念したベスト盤。収録内容はファン投票などによって決定。これまでのバンドの軌跡が詰まったアルバムだ。

BASS MAGAZINE SPECIAL FEATURE SERIES『2009-2019“ハマ・オカモト“とはなんだったのか?』
ハマ・オカモトの10年の活動を年譜でまとめたうえ、ロングインタビューによって、その歩みをひもといていく。

スタイリスト:TEPPEI
スタイリストアシスタント:守田圭佑
ヘアーメイク:藤井陽子

撮影:岡祐介

※こちらの記事は2020年2月下旬に実施されたインタビューを元に構成されています。ハマ・オカモトさんは現在、体調を崩され自宅療養中との報道があります。1日も早く回復され、また元気な姿を見せてくださることを編集部一同、心より願っています。