フリーペーパーVol.2特集「TOKYO WELL-BEING」。今回は同じ価値観の輪を拡げる情熱を胸に、東京で本当の幸せを求めて動き出した人たち(PERSON)に話を聞いた。
ブームには、そのコアな魅力を世の中にわかりやすく翻訳してくれるエバンジェリストの存在が欠かせない。今、空前のブームとなっているサウナにも、サウナの快楽を「ととのう」という言葉に翻訳した「濡れ頭巾ちゃん」や、ヒット漫画『サ道』を描いたタナカカツキなどのエバンジェリストがいる。そして、フィンランド式サウナを楽しむ屋外イベント「SAUNA FES JAPAN 2019」を仕掛けた秋山大輔さんは、おじさんの嗜みだったサウナを誰でもが楽しめるレジャースタイルに変えた中心人物だ。
フィンランド式サウナは、自然と一体になって楽しむオープンな世界。本場ではサウナと湖畔がセットになっていて、温めた身体を湖に飛び込んで冷やすという。そのレジャー性を「東京ガールズコレクション」など数々のイベントを手掛けてきた彼が、水着を着た男女がサウナで語らい屋外で音楽を聴いてお酒も飲めるフェススタイルに仕立てたことで、サウナの新しい楽しみ方を提示した。
「何も飾らず、人と人が1対1でコミュニケーションを取れるというのは、現代では貴重なこと。サウナはいわゆる裸の付き合いじゃないですか。今、それって減ってきている体験だと思うんです。参加しているのは20代がメインで、たまに50〜60代の方がいて。この幅広い世代の中にサウナを通じて交流が生まれているという状態も、なかなか面白いですよ」
心身をリフレッシュした状態で年齢・身分を超えた人たちとの語らいを楽しむ。サウナが創るWELL-BEINGは、ブームを超えてスタイルとして定着するかもしれない。
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毎週末、表参道の国連大学前にて開催されている「Farmers Market@UNU」にサポーター制のファンクラブがあることはあまり知られていない。その名も「Farmers Market Supporter Club」。有料サポーターになることで農家の支援につながるだけでなく、月1回は開催される交流会で食の意識を高められる。先日は「re-think food cooking」と題し、売れ残った食材をみんなでクッキングして、おいしく食した。つまり、フードロス=食材廃棄に対するアンチテーゼだ。
飲食店で働き、食材を探すうちにFarmers Marketの常連になった塚本さんは、フリーランスになったタイミングでクラブ運営に参加した。
「フードロスやプラスチックゴミの問題は本当に深刻です。東京にいる私たちがその消費の中心にいるわけで、この場所で農家とつながり、もう一回『おいしいってなんだろう』と考え直していくことにこそ、意味があるんです」
交流会では、運営が中心となっサポーターと農家をつなぐだけでなく、サポーター同士の横のつながりも活性化しているという。
「働き方、生き方の異なる人が多く集まっています。そんな方々がつながることで、様々な発見ができる。脱サラしてリンゴ農家に転職したり、飲食店からワイナリーになったり。きっと面白い話が聞けますよ」
環境に良い食材を選ぶだけでなく、問題意識を共有しあえる人たちと一緒に解決策を考え、その輪を広げていく「活動」に参加する。まさに“社会と向き合う”WELL-BEINGの充実感を得られるという点でもクラブの意義は深い。
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毎年ハロウィンの時期に、神楽坂では猫の仮装パレード「化け猫フェスティバル」が開催されている。10年目の節目となった今年も台風一過で開催が危ぶまれる中、1000人近い参加者が集まった。
商店街の活性化を目的に始まったこのイベントの実行委員長・おかめ家ゆうこさんは、実は神楽坂出身ではない。そしてそのきっかけがおもしろい。
「昔、ポチ袋展というものがあって、私も出店したんですね。そのオープニングパーティーで初めて神楽坂に来たんです。そこで、『銀一』のおじさんにナンパされたんです。『カニ食べないか』と(笑)。それから神楽坂を知らないまま町おこしを手伝うことになりました」
最初は10人程度の参加者。そこからSNSで拡散され、小さなこどもからお年寄り、外国人までが参加する大規模なイベントに成長した。「小さい街のイベントなので街の人たちとのコミュニケーションを大切にしている」というゆうこさん。地元と域外からの参加者双方が楽しめる配慮を怠らない。クラウドファウンディングなどを通じて域外の人も運営する側になれる仕組みも確立され、内外を巻き込んだコミュニティを形成している。
街は、「暮らす」と「出かける」の2つの価値を持つことで活性化する。だからこそ、そこに暮らす人だけでなく、街をたびたび訪れる人たちだって「地元意識」を持ってもいいはずだ。これからのローカルコミュニティはその街を愛するすべての人で営まれていく。「化け猫フェスティバル」はその象徴的な存在なのだ。
「いろいろやっていますが、やっぱり『猫』は偉大です(笑)」
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野菜や果物、肉、魚介類などを生産者から直接購入でき、仲間と一緒に共同購入もできる新しい流通サービス「食べチョク」が注目されている。ファウンダーの秋元さんは、「農家を稼げる職業にしたい」という思いを胸に、25歳でDeNAを退職。農家直送で野菜を届けるECサイト「食べチョク」を立ち上げた。
「こだわりの野菜を作っても、形と大きさで価格設定されてしまうため、農地が狭い小中規模農家は儲かりにくい。現状のシステムを改善し、小中規模農家にも利益が行き届くような仕組みが必要なんです」
「食べチョク」の特徴のひとつは、オンライン共同購入システム。オーダーに応じて、農家が指定された人数分に野菜を小分けし、ひとつの場所に発送するサービスだ。少しでも輸送コストを省き、できるだけ安く利用者の手元に届けるための仕組み。利用者にとっても生鮮食品を必要な分だけ購入できる点で好評だが、新しい動きも生まれてきている。
「SNSで『一緒に◯◯買いませんか?』と共同購入のパートナーを探す人を見かけるようになりました。友だち限定公開のツイッターで、一気に募集する人も多いようです」
消費者にとっては、日持ちしにくい食材を分けあえるため、無駄なく生鮮野菜を手に入れるだけでなく、コミュニケーションのきっかけを生む。おいしい野菜を食べた感動や驚き、おすすめの調理方法などを、オーダーした人たちでシェアすることで食の楽しみが広がるのだ。
単なるオーガニックや自然食といったトレンド消費ではない、“豊かなつながり”を生む「食べチョク」は、私たちに「新しい食の幸せ」を提示している。
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