HOME WELL BEING TOKYO WELL-BEING “東京でつながる”という幸せ エア祭りで、お祭りの未来を作る。オマツリジャパン代表・加藤優子
エア祭りで、お祭りの未来を作る。オマツリジャパン代表・加藤優子

VOL.21 エア祭りで、お祭りの未来を作る。オマツリジャパン代表・加藤優子

日本の夏といえば、お祭りの季節。毎年この時期を楽しみに生きている、という人も多いかもしれないが、今年は新型コロナウイルスの影響で全国的にお祭りが中止となってしまった。密集・密着を避けられない日本のお祭りはこの先、一体どうなってしまうのか?全国のお祭り情報をまとめるサイト「オマツリジャパン」の加藤優子代表に話を聞いた。

オマツリジャパンとは?

「祭りで日本を盛り上げる」をコンセプトに掲げる、日本最大級の「お祭り」専門会社・オマツリジャパン。この会社の代表を務めるのが、加藤優子さんだ。

「私たちはお祭りでムーブメントを起こしたいと思っています。そもそも、日本には30万件ものお祭りがあって、その数は世界一だといわれています。各地のお祭りにはそれぞれ魅力があるのに、知られていないのは勿体ない」

オマツリジャパン代表 加藤優子さん

日本に生まれると、当たり前にあるお祭り。しかし30万件という数にも表れている通り、世界から見れば日本は「お祭り大国」。訪日客が日本を訪れる理由にもなるくらい、お祭りは日本の目玉コンテンツなのだという。しかし日本では今、お祭り自体の存続が厳しいともいわれている。

「高齢化などで人がいない、アイディアが足りない、お金が足りない、宣伝ができない……。こういった課題を抱えるお祭りが日本にはたくさんあります。私たちはそれをサポートして、広げていければと思っています」(加藤さん)

そんなお祭りを盛り上げるべく、オマツリジャパンでは様々な活動をしている。その一つが、全国のお祭り情報を掲載するサイト「オマツリジャパン」の運営だ。

このサイトには、お祭りの基本情報のほか、お祭りにまつわる雑学記事が掲載されているのだが、この雑学記事はなんと毎月100記事もアップしているそう。お祭りネタだけでそんなに記事が作れるものなのだろうか。

「オマツリジャパンの記事は、SNSなどで募集をかけたライターさんが書いてくれているのですが、その方たちは“変態”と言ってもいいくらいのお祭り好きな方たちばかりで。だからネタが尽きないというのはあるかもしれません」

雑学記事は、加藤さんいわく「お祭り愛」溢れるライターたちが書いたもの。そんなライターが集まってくれたおかげで、自然と専門的な情報が掲載できているのだという。

「お祭りと言っても、歴史や由来の記事もあれば、そのお祭りにまつわる食べ物の話もありますし、そういう色々な情報が楽しめるのも、オマツリジャパンの特徴ですね」

さらに現在は、疫病除けのお祭りの情報や、「コロナ禍でも受けられるお祓い」など、新型コロナウイルス関連の情報も掲載中だ。どうしてここまでお祭りに特化した会社を立ち上げたのだろうか。

「私自身は生まれも育ちも東京なんですが、祖母が青森にいるので、ねぶた祭りをよく見ていたんです。毎年見ていたから、当たり前になってしまっていたけれど、東北の震災直後、自粛ムードでお客さんも少なくて。みんなが心から悲しんでいる状況だった。それを見て、地域の人がもっと元気になってくれたなと考えたのが始まりですね」

青森ねぶた祭(iStock, coward_lion)

東日本大震災で、当たり前の存在であったお祭りが出来なくなってしまった哀しさ。加藤さんはそれをバネに会社を立ち上げのだった。そしてここまでお祭りを盛り上げてきた「オマツリジャパン」であったが、今再び、危機に直面している。新型コロナウイルスの大流行である。
人の密着や密集を招くことが懸念された結果、青森のねぶた祭、徳島の阿波踊りなど、大きなお祭りは軒並み中止となってしまった。

これはお客として訪れる私たちにとっても悲しい話だが、各地のお祭りにとっても大打撃だった。例えば青森では今年、春に開催される「弘前桜まつり」と、青森ねぶた祭の両方が中止になったことで、経済的損失が575億円以上にのぼるとも言われている。お祭りが収入源となる地域では、「中止」という一言では済まされない、経済的にも非常に深刻な問題なのだ。

「やりたい気持ちはあっても、万が一クラスターが発生してしまったら保証ができない。今年の開催が見送られて、お祭りに向けて動いていたみなさんの喪失感は大きいです。本当に落胆しています」

この夏は「エア祭り」

こうした中でオマツリジャパンは今、ある企画にむけて動き出している。

「オマツリジャパンとしては何かできないかと考えて、今、エア祭りと称して、夏祭りをオンラインで開催することを目指しています」

現在オマツリジャパンで企画しているのは、8月の15日に開催する『オンライン夏祭り2020』。各地の有名なお祭りをオンライン上で実施するというもので、踊り教室、ワークショップ、ミス〇〇企画、お祭り未来会議などのコンテンツを予定しているという。

リハーサルも始まっている

実は「オンライン祭り」というスタイルは5月の連休中にも開催されていた。例えば、神奈川の男根崇拝の奇祭「エアかなまら祭り」、日本民踊鳳蝶流の家元・鳳蝶 美成氏が開催した「WEB盆踊り」などがそうで、反響も大きかったという。特にGW期間中、ほぼ毎日開催されたWEB盆踊りは900人以上が視聴し、運動不足の解消にもなると好評を博したイベントだ。

「夏を前に、実験的に開催したものでしたが、かなり反響がありました。特に踊りは運動不足の解消にもなると好評で。海外からも問い合わせがあり、オンラインの影響の大きさを実感しました」

ただ、「オンライン」と聞くと、コロナ禍の今だからこその、いわばその場しのぎのような印象も受ける。しかし加藤さんは、これは今後にもつながる取り組みだと話す。

リモートで取材に応じてくれた、オマツリジャパン代表・加藤優子さん

「これは決して、Withコロナの代替案的なものではなく、アフターコロナでも使える取り組みだと思っています。今、オンラインの花火大会なども流行ってきていますが、遠方に住む人や、高齢の方で移動が難しい方、そして混雑が苦手な人にも人気です。それに開催地にとっても良いことがあって。例えばお祭りの存続が危ぶまれている理由の一つが、警備費がかさむことなどですが、そうした現場対応の負担の解決にもなると考えています」

映画や音楽など様々なエンターテインメントがオンライン・ライブで新しい境地を開拓しているように、お祭りがオンライン・ライブとどのように融合していくのか注目したいところだ。

コロナで変わるお祭りのあり方

オンラインで開催するとはいえ、夏の夜、お祭りを外で楽しめないのは寂しい気もする。しかし加藤さんは、お祭りへの不安感が払拭できない間は、以前のように開催するのが難しいとみている。

「現状、作成されているガイドラインは『これをやれば絶対大丈夫』、というガイドラインではありません。そしてワクチンなどが開発されたりして、安心が保証されない限りは従来の形での開催は難しいと思っています」

オマツリジャパンは今後、祭りの主催者の気持ちのケアも含めてサポートをしていくほか、自治体や企業とともにガイドラインの作成に関わっていくという。その一方で加藤さんは、コロナによって生まれた「オンライン」という手段を使い、お祭りの可能性を広げていきたいとも話す。

阿波踊りの和楽連。オンライン夏祭り2020のタイアップが決まっている

「全世界に発信できるオンライン開催は、お祭りの新たな手段、スタンダードになり得ると思っています。実は私、今子育て中なんですが、やっぱりお祭りに行く回数は減ってしまったんですね。でも、オンラインなら遠方のお祭りも家で見られる。それがすごく便利だなと、身をもって感じています」

琉球國祭り太鼓(沖縄エイサー)もタイアップする

「それにエア祭りは、お祭りへのハードルがグッと下がると思っていて。このエア祭りをきっかけに、いろいろなお祭りを知っていただいて、興味を持ってもらえたら嬉しいですね」

取材中、生き生きと話をする加藤さんからは、コロナによる落胆や悲しみよりも、お祭りの新しい未来が開けたというような、そんな前向きな印象を受けた。最後に、加藤さんが思うお祭りの面白さとは何なのかも、聞いてみた。

「お祭りの面白さは、好みの祭りがみんな違うことでしょうか。私は灯籠祭りが好きですが、喧嘩祭りなどのワイルドなお祭りが好きな人も、踊り系のお祭りが好きな人もいる。楽しみ方もいろいろで、屋台のご飯が好きな人もいれば、お祭りデートが好きな人もいる。お祭りの種類も楽しみ方も本当にいろいろあって、それが面白い。絶対に一つは自分の好きなお祭りがあるはずなので、そんなお気に入りのお祭りと、オマツリジャパンを通して出会ってもらいたいです」

オマツリジャパンの活動

オマツリジャパンがプロデュースする『オンライン夏祭り2020』。詳細が発表され次第Harumari TOKYOでも続報を予定している。これまでの古き良きお祭りの魅力、そして進化しつづけるオマツリジャパンの活動。加藤さんの想いとともに今後の展開に注目していきたい。

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